土地を売却すると、さまざまな税金がかかります。
しかし、その反面、ふるさと納税を活用して税金の控除を受けられる上限額が増えるかもしれません。
では、土地を売却してふるさと納税の上限額が増えるのはどのような場合でしょうか?
今回は、土地を売却する場合にふるさと納税で損をしないポイントについて詳しく解説します。
ふるさと納税とは
ふるさと納税とは、住所地の自治体以外の自治体に寄附をすることで、税金の控除を受けることができる制度です。
本来、住民税は現在居住している地域の自治体に納めることとなります。
しかし、出生地や学生時代を過ごした地など、現在居住していない自治体を応援したい場合もあるでしょう。
その際は、ふるさと納税制度を活用し、居住地以外の自治体に納税(寄附)をすることが可能です。
「ふるさと」とありますが、寄附先の自治体は生まれ故郷に限られず、自由に選択することができます。
ふるさと納税をすると、他の自治体にした寄附金のうち2,000円を超える部分について、所得税の還付や住民税の控除を受けることができます。
近年、各自治体が寄附金を獲得するために、趣向を凝らした返礼品を用意していることも少なくありません。
そのため、「ふるさとの自治体を応援したい」との想いからふるさと納税をする人もいる一方で、魅力的な返礼品を目当てにふるさと納税をする人も多いのが現状です。
土地を売却してふるさと納税の上限額が増える人
土地を売却して譲渡所得税やこれに付随する住民税(以下、「譲渡所得税等」といいます)の支払いが生じた人は、ふるさと納税の上限額が増える可能性があります。
譲渡所得税等は土地の売却益に対してかかる税金であり、次の式で算定します。
- 課税譲渡所得金額=収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額
- 譲渡所得税額=課税譲渡所得金額×税率
- 住民税額=課税譲渡所得金額×税率
譲渡所得税額等は計算要素が多く、自分で正しく算定することは容易ではありません。
そのため、土地を売却する際は税理士などの専門家へ相談して譲渡所得税等の試算を受けたうえで、ふるさと納税についても相談しておくとよいでしょう。
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土地を売却してふるさと納税の上限額が増えない人
土地を売却したからといって、必ずしもふるさと納税の上限額が増えるわけではありません。
土地を売却しても、譲渡所得税等の納税が発生しない場合はふるさと納税の上限額は増えないため注意が必要です。
土地の売却で譲渡所得税等の納税が発生しないケースとは、次の2つのパターンです。
- 土地の売却で譲渡損失が出る場合
- 特別控除の適用を受けた結果、譲渡所得税等がゼロとなる場合
それぞれの概要は次のとおりです。
土地の売却で譲渡損失が出る場合
土地の売却で譲渡損失が出る場合、譲渡所得税等は発生しません。
たとえば、土地を3,000万円で売却したとしても、その土地が4,000万円で購入したものである場合は売却によって損が出ており、譲渡所得税等の申告や納税は不要です。
特別控除の適用を受けた結果、譲渡所得税等がゼロとなる場合
譲渡所得税にはさまざまな特別控除が設けられています。
特別控除とは、一定の要件を満たすことで適用を受けられる、実際の支出を伴わない控除です。
たとえば、売却した土地がマイホームの敷地である場合、「マイホームを売ったときの3,000万円の特別控除」が受けられる可能性が高くなります。
控除できる金額が大きいため、特例の適用を受けることで結果的に譲渡所得税がゼロとなることも少なくありません。
譲渡所得税等にはこの他にもさまざまな特例が設けられていますが、それぞれ詳細な要件が定められており、適用の可否を自分で正確に判断することは容易ではありません。
そのため、土地の査定額がわかった時点で税理士などの専門家へ相談し、特例が適用できるかどうか確認しておくとよいでしょう。
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土地を売却してふるさと納税をする場合のポイント
土地を売却してふるさと納税をする場合、どのような点に注意すればよいでしょうか?
ここでは、ふるさと納税をする場合のポイントを4つ解説します。
- ふるさと納税自体に上限額はないが、税金の控除には上限がある
- 控除上限額は家族構成などによって異なる
- ふるさと納税の特例を受けるには手続きが必要となる
- 土地の売却益がある場合は「ワンストップ特例」が使えないことが多い
ふるさと納税自体に上限額はないが、税金の控除には上限がある
「ふるさと納税の上限額を知りたい」と税理士などの専門家に質問した場合、「ふるさと納税自体には上限額はありません」といわれることがあります。
確かに、ふるさと納税自体には上限額はありません。
極端な例では、元々その年分の税額が20万円である人が、100万円の「ふるさと納税」をしてもよいわけです。
ふるさと納税は「納税」という名称であるもののその実態は「寄附」であり、どこにいくらの寄附をするのかは個人の自由であるためです。
一方で、「ふるさと納税によって税額の優遇を受けられる額」には上限があります。
これを超えてふるさと納税をすると、税金面で損をしてしまうこととなります。
土地を売却する場合は、土地の査定額がわかった時点で、あらかじめ「ふるさと納税によって税額の優遇を受けられる額」について専門家に相談しておくとよいでしょう。
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控除上限額は家族構成などによって異なる
ふるさと納税による控除上限額は、その年分の所得や土地の売却益だけで決まるのではなく、家族構成や社会保険料控除の額などさまざまな条件によって変動します。
「土地をいくらで売ったら、ふるさと納税の控除上限額がいくら増える」などと、一概に算出できるものではありません。
そのため、ふるさと納税の控除上限額について税理士などに相談する際は、土地の売却に関する資料だけではなく、その年分の他の所得(給与所得や事業所得など)を算定するための資料も必要です。
ふるさと納税の特例を受けるには手続きが必要となる
ふるさと納税の特例を受けるには手続きが必要です。
ふるさと納税による税額控除を受けるための具体的な手続きは、次のいずれかです。
- 確定申告をする
- ふるさと納税を行う際に各ふるさと納税先の自治体に、特例の適用に関する申請書を提出する「ワンストップ特例」の適用を受ける
手続きを忘れてしまうと、税金の控除を受けることができないことには注意が必要です。
土地の売却益がある場合は「ワンストップ特例」が使えないことが多い
先ほど解説したように、ふるさと納税による税金の控除を受けるには、確定申告をするかワンストップ特例の適用を受けなければなりません。
ただし、ワンストップ特例の適用を受けるには、次の要件をすべて満たす必要があります。
- 確定申告の不要な給与所得者等であること
- ふるさと納税先の自治体数が5団体以内であること
- ふるさと納税を行う際に各ふるさと納税先の自治体に特例の適用に関する申請書を提出すること
土地の売却益がある場合は、このうち「1」の要件を満たすことができません。
そのため、土地の売却益がある年にふるさと納税による控除を受けたい場合は、確定申告が必要となります。
土地の売却で注意したいふるさと納税の失敗例
土地の売却益が出た年にふるさと納税の特例を受けたい場合、失敗しないためにはどのような点に注意する必要があるでしょうか?
最後に、ふるさと納税の失敗例を3つ紹介します。
- 限度額以上にふるさと納税をしてしまう
- 手続きするのを忘れてしまう
- 寄附受領証明書を失くしてしまう
限度額以上にふるさと納税をしてしまう
1つ目の失敗は、控除限度額以上にふるさと納税をしてしまうことです。
先ほど解説したように、ふるさと納税により税額控除を受けられる額には、上限があります。
上限額以上にふるさと納税をすることもできるものの、上限を超えた部分については税金の優遇を受けることはできません。
このような失敗を避けるため、土地の査定額がわかった時点で税理士などの専門家へ相談し、控除上限額の目安を把握しておくようにしてください。
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手続きするのを忘れてしまう
2つ目の失敗は、手続きするのを忘れてしまうことです。
土地の売却益がある年にふるさと納税をするには、確定申告をしなければなりません。
確定申告の期限は、土地の売却やふるさと納税をした年の翌年2月16日から3月15日までです。
確定申告をしないと、ふるさと納税による優遇措置が受けられないばかりか、譲渡所得税等が申告漏れとなり無申告加算税などのペナルティが課される可能性があることには注意が必要です。
寄附受領証明書を失くしてしまう
3つ目の失敗は、寄附受領証明書を失くしてしまうことです。
ふるさと納税をすると、寄附先の自治体から寄附受領証明書が発行されます。
この寄附受領証明書は確定申告に必要となるため、紛失しないよう大切に保管してください。
まとめ
土地の売却で譲渡所得税等が生じる場合は、ふるさと納税による控除上限額が増える可能性があります。
土地の売却ではさまざまな税金がかかりますが、税金で損をしないため、ふるさと納税の活用も検討するとよいでしょう。
とはいえ、ふるさと納税による控除上限額は土地の売却価格だけで決まるわけではなく、自分で算定することは容易ではありません。
土地の査定額がわかった時点で税理士などの専門家へ相談し、ふるさと納税の控除上限額についても確認しておくことをおすすめします。
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