不動産会社に依頼して中古マンションを売りに出しても、なかなか売れない場合もあるでしょう。売れないマンションを所有し続けることにはデメリットが多く、売れないなら放棄をしたいと考えるかもしれません。
では、マンションが売れないことを理由にマンションの所有権を放棄することはできるのでしょうか?また、なかなか売れないマンションを売るためにはどのような点を見直せばよいのでしょうか?
今回は、マンションが売れない場合の対処法やマンションの放棄ができるかどうかなどについて詳しく解説します。
売れないマンションを持ち続けるリスク
売れないマンションを持ち続けることにはリスクが少なくありません。主なリスクやデメリットは次のとおりです。
- 固定資産税や修繕積立金などがかかり続ける
- 老朽化が進むと資産価値がさらに低下する
- いずれは建て替えの問題にぶち当たる
- 次世代に「負の遺産」を引き継ぐことになる
なお、マンションをまだ売り出しておらず「売れないかもしれない」と懸念している場合には、諦める前にマンションの査定を受けてみるとよいでしょう。
東証プライム上場企業のSREホールディングスが運営する「おうちクラベル」では、一度の入力で複数の優良な不動産会社へまとめて査定を依頼できます。「このようなマンションなど売れない」と考えていても、思わぬ査定結果が得られるかもしれません。
複数の不動産会社に査定の依頼をすることで、築古のマンションや駅からの距離があるマンションなどであっても売る自信のある不動産会社に出会いやすくなります。
固定資産税や修繕積立金などがかかり続ける
マンションを持ち続けていると、毎年固定資産税がかかります。また、毎月管理費や修繕積立金の支払いも必要であり、マンションを所有している限り支払い続けなければなりません。
修繕積立金や管理費の額は永久に固定されているわけではなく、マンションの老朽化が進むにつれて増額される可能性が高くなります。なぜなら、マンションの老朽化が進むと不具合の発生する箇所や頻度が増え、修繕や管理にコストがかかりやすくなるためです。
老朽化が進むと資産価値がさらに低下する
マンション資産価値は、一般的に築年数が長くなるにつれて低下する傾向にあります。
法定耐用年数と寿命はイコールではなく、法定耐用年数を過ぎたからといってそのマンションに住めなくなるわけではありません。しかし、マンションの法定耐用年数である47年を過ぎると建物部分の資産価値はゼロに近くなり、土地のみの価値となることが多いでしょう。
法定耐用年数を過ぎたマンションは担保としての価値も低いと判断されることが多く、購入希望者の住宅ローンも通りにくくなります。
売れないマンションをそのまま所有しているとその後もさらに資産価値が低下していく可能性が高く、さらに売りづらくなるリスクがあります。
いずれは建て替えの問題にぶち当たる
売れないマンションを持ち続けるとその後もマンションの老朽化が進み、いずれは建て替えや解体などの問題が浮上します。また、建て替えや解体の決議のハードルは高いため、老朽化して危険な状態となったマンションがそのまま放置される可能性も低くありません。
次世代に「負の遺産」を引き継ぐことになる
マンションが売れないまま月日が流れると、いずれは所有者が亡くなり相続が発生します。これにより、老朽化して「負の遺産」となったマンションが次世代に引き継がれることとなるでしょう。
このような状態のマンションを欲しがる相続人がおらず押し付け合いとなることから、相続争いに発展する可能性も否定できません。
売れないマンションは放棄できる?
マンションがなかなか売れない場合には、そのマンションを放棄したいと考えるかもしれません。では、マンションが売れない場合、そのマンションの所有権を放棄することはできるのでしょうか?順を追って解説します。
マンションは売れなくても単体での放棄はできない
マンションを手放したい場合であっても、2023年7月時点の法令では、マンションの所有権を単体で放棄することはできません。マンションの部屋を放置して別の物件に移り住んでもマンションを放棄したことにはならず、引き続き固定資産税や修繕積立金などの支払い義務は生じることには注意が必要です。
相続財産をすべて放棄する方法はある
マンションを持っていた親などが死亡したことで売れないマンションを引き継いでしまいそうな場合には、家庭裁判所に申述をして相続放棄をすることで、マンションの相続を放棄する道があります。
ただし、相続放棄は「マンションは要らないけれど、預貯金は相続したい」などと、資産ごとに選択できるものではありません。相続放棄をするとはじめから相続人ではなかったこととなり、マンションのみならずすべての資産を相続することができなくなります。
また相続放棄には期限があり、原則として相続開始を知ってから3か月以内に申述をすることが必要です。相続が起きてから長時間が経過している場合には、もはや相続放棄をすることはできません。
さらに、その順位の相続人が全員相続放棄をすると、次の順位の相続人が繰り上がって相続人になる点にも注意をする必要があるでしょう。たとえば、亡くなった人(「被相続人」といいます)の子どもが全員相続放棄をすると、はじめから第一順位の相続人がいなかったこととなり、第二順位の相続人である被相続人の両親や第三順位の相続人である被相続人の兄弟姉妹が繰り上がって相続人となるのです。
兄弟姉妹などからすると、自分には関係がなかったはずの「負の遺産」が突如として降りかかることとなるため、親族間の大きなトラブルに発展する可能性があります。
「相続土地国庫帰属制度」はマンションには使えない
2023年4月27日から、相続土地国庫帰属制度がスタートしています。相続土地国庫帰属制度とは、相続をした「要らない土地」を単体で国庫に帰属させることができる制度です。
相続登記がされないまま長年放置された「所有者不明土地」の増加が社会問題となったことから新たに創設されました。放棄をしたいと考えているのがマンションではなく相続をした土地である場合、この制度を活用することで所有権を事実上放棄することが可能です。
しかし、相続土地国庫帰属制度の対象となるのは建物などが建っていない「土地」のみであり、マンションや建物には活用することができません。2023年7月現在ではマンションの所有権を単体で放棄したり強制的に国などに帰属させたりできる制度はないことを誤解しないようにしてください。
マンションが売れないときの検討ポイント
中古マンションがなかなか売れない場合、次の点を見直すことで売却できるかもしれません。マンションが売れないときに見直すべき主なポイントは次のとおりです。
- 売り出し価格を引き下げる
- 売り出す時期を見直す
- 清掃や整理整頓をする
- 仲介を依頼する不動産会社を変更する
売り出し価格を引き下げる
マンションが売れないのは、マンションの売り出し価格が高すぎるからかもしれません。改めて周辺相場を確認して相場相当の価格に引き下げることで、マンションが売れる可能性があります。
マンションを売却する適正額がわからない場合には、不動産一括査定を活用するとよいでしょう。東証プライム上場企業のSREホールディングスが運営する「おうちクラベル」では、一度の入力で複数の不動産会社からマンションの査定が受けられます。
売り出す時期を見直す
一般的に、マンションは2月から3月がもっとも売れやすいとされています。この時期は転勤や転職、通学などで、引っ越し先を探す人が多いためです。反対に、夏場や年末にはマンションがあまり売れません。
売りやすい時期から外れている場合には、売れやすいシーズンに改めて売り出すことを検討するとよいでしょう。
清掃や整理整頓をする
マンションを売るにあたって、大規模なリフォームやリノベーションまでは必要ありません。しかし、最低限の清掃や整理整頓は行っておくべきでしょう。なぜなら、同じマンションであっても、清掃や整理整頓の状況次第で売れるかどうかに差がつく可能性があるためです。
引き渡し前には売主の家財などをすべて撤去してハウスクリーニングを入れることがわかっていたとしても、汚れていたり乱雑な状態であったりすると「買いたい」との意識が薄れやすく、購入につながりにくいでしょう。そのため、清掃や整理整頓をしてから物件写真を撮り直すことで、マンションが売れる可能性があります。
また、購入希望者が内見に訪れる際にも清掃や整理整頓をしたうえで受け入れることをおすすめします。
仲介を依頼する不動産会社を変更する
マンションがなかなか売れないのは、仲介を依頼している不動産会社に問題があるからかもしれません。不動産会社側にある問題とは、たとえば次のものなどです。
- そのマンションの売却活動に力を入れていない
- そのマンションの売却が得意ではない
- 販売ツールやアピールポイントがずれており、そのマンションのメリットを訴求できていない
マンション自体ではなく不動産会社の側にこのような問題がある場合には、仲介を依頼する不動産会社を変更することでマンションが売れる可能性があります。
そのマンションの売却に強い不動産会社を見つけたい際には、「おうちクラベル」の不動産一括査定がおすすめです。おうちクラベルを活用して複数の不動産会社から査定を受けることで、そのマンションの売却に自信のある不動産会社を見つけやすくなるでしょう。
それでもマンションが売れないときの対応策
対策を講じてもマンションが売れずマンションを手放したい場合には、次の方法を検討することとなります。
- 地方自治体や団体に寄付を申し出る
- 無償譲渡を検討する
- 不動産買取を検討する
地方自治体や団体に寄付を申し出る
1つ目は、マンションが所在する地方公共団体やその地域で活動している団体に寄付を申し出ることです。なかなか売れないようなマンションの場合、寄付を受け入れてもらえる可能性は高くないものの、問い合わせをしてみることは1つの手でしょう。
無償譲渡を検討する
2つ目は、同じマンションの住民や知人などへ無償で譲渡することです。対価を支払ってまでは欲しくないと考える人であっても、無料で受け取れるなら欲しいと考えるかもしれません。
ただし、後々のトラブルを避けるため、対価は無償であっても今後修繕積立金や管理費、固定資産税がかかることなどはしっかりと説明しておいた方がよいでしょう。
また、譲渡を受け入れてもらえたら単に部屋を明け渡すのみではなく、名義変更の登記まできちんと済ませておくことをおすすめします。名義変更の登記がされていなければ、相手も要らなくなった際に「もらっていない」などと主張され、マンションが戻ってきてしまう可能性があるためです。
不動産買取を検討する
3つ目は、不動産買取を検討することです。
不動産買取とは不動産会社に買い手を探してもらうのではなく、不動産会社にマンションを買い取ってもらう取引形態を指します。不動産会社の中には築古のマンションなどを積極的に買い取っている会社もあり、市場で売れないマンションであっても買い取ってもらえる可能性があるでしょう。
ただし、不動産買取では一般的に買取額が市場での売却の7割から8割程度と低くなります。また当然ながら、不動産会社側にマンションを買い取る義務があるわけではなく、必ずしも買い取ってもらえるとは限りません。
まとめ
中古マンションが売れない場合でも、マンションの所有権を単体で放棄することはできません。そのため、売れないマンションをどうしても手放したい場合には、無償譲渡などを検討するほかありません。
しかし、そのマンションの売却に強みを持つ不動産会社に依頼して売り方を工夫することで、マンションが売れる可能性があります。そのため、売却を諦める前に依頼先の不動産会社を変更することも1つの手でしょう。
マンションが売れずにお困りの際には、ぜひ「おうちクラベル」の不動産一括査定をご利用ください。
おうちクラベルでは、一度の入力で複数の不動産会社へまとめて査定を依頼することが可能です。複数社から査定を受けることで、売れなかったマンションをよい条件で売ってくれる不動産会社と出会えるかもしれません。