マンションの査定とは、不動産会社にあらかじめそのマンションの売却想定額を試算してもらうことです。査定を受けることでマンションを売るかどうかの判断がしやすくなるほか、マンションの売り出し価格を設定する際の拠りどころとなります。
では、マンションの査定は匿名で依頼することもできるのでしょうか？今回は、匿名でのマンション査定の特徴や注意点とともに、査定を受けてからマンションを売り出すまでの基本的な流れについて解説します。
マンションの査定とは？
マンションの査定とは、マンションを売り出す前にそのマンションの売却想定額を不動産会社に試算してもらうことです。
査定額はあくまでも売却想定額であり、その価格で売れるとの保証はありません。しかし、売却想定額を把握しておくことでマンションの売り出し価格（売り手側の希望販売価格）を設定しやすくなるほか、そのマンションを売却するかどうかの検討もしやすくなるでしょう。
税務上の評価などとは違い、査定には明確な計算ルールがあるわけではありません。マンションの査定は次の評価手法をベースとしたうえで、不動産会社独自のノウハウを加味して行うことが一般的です。
- 取引事例比較法：過去の取引事例を参考にした査定方法
- 収益還元法：そのマンションの「稼ぐ力」に着目した査定方法
マンションの査定額は、査定をした不動産会社によって異なることも珍しくありません。そのため、査定は1社のみに依頼するのではなく複数の不動産会社に依頼するとよいでしょう。
マンションの査定を匿名で受ける手順・流れ
マンションの査定を匿名で依頼したい場合もあるでしょう。では、マンションの査定を匿名で依頼することはできるのでしょうか？匿名で査定を依頼する手順と流れは次のとおりです。
- マンションの査定を匿名で受け付けているサービスを探す
- マンションの基本情報を入力する
- マンションの査定額が表示される
マンションの査定を匿名で受け付けているサービスを探す
マンションの査定を匿名で受けているサービスは複数あります。ただし、匿名で依頼できるものの多くは人の手で査定額を算定するものではなく、AIによって査定するものです。
マンションの基本情報を入力する
マンションの査定を匿名で依頼する場合であっても、マンションの情報自体は入力しなければなりません。マンションの情報がわからなければ査定をしようがないためです。
画面表示に従って、査定して欲しいマンションの情報を入力しましょう。
マンションの査定額が表示される
マンションの匿名査定のほとんどは、AIで査定結果を算定しています。そのため、入力したらすぐに査定結果を見ることが可能です。
マンションの査定には3種類が存在する
マンションの査定には、次の3種類が存在します。マンションの査定を依頼する前に、それぞれの概要を把握しておいてください。
- 匿名査定（AI査定）
- 簡易査定（机上査定）
- 訪問査定
匿名査定（AI査定）
匿名査定（AI査定）とは、AI（人工知能）が自動的に結果を算定する査定です。個人情報を入力する必要がないため、不動産会社から連絡が入ることはありません。
一方で、過去の売買事例をもとに機械的に査定をするものであるため、リフォームなどの個別事情は反映されません。また査定の結果は粗く、特にマンションの取引事例の少ない地方の場合は結果が得られなかったり、結果が実際の売却額の差が大きくなったりする可能性もあります。
そのため、たとえば「マンションを売却するかどうかわからないものの、とりあえず査定額を知りたい」という場合などでの活用に留めるとよいでしょう。
簡易査定（机上査定）
簡易査定（机上査定）とは、不動産会社の担当者がマンションの立地や間取り、築年数、広さなどを踏まえて簡易的に行う査定です。現地を見ずに机の上で行う査定であることから「机上（きじょう）査定」と呼ばれることもあります。
簡易査定では現地を確認しないため、次に紹介する訪問査定と比較して査定の精度は粗くなります。一方で、査定結果が出るまでの時間は数時間から1日程度とスピーディーであり、複数の不動産会社に依頼しやすいことがメリットです。
簡易査定と訪問査定はどちらかを選択するというものではなく、まず簡易査定で複数の不動産会社に査定の依頼をし、その結果を見て絞った数社に訪問査定を依頼するという流れを踏むことが多いでしょう。
簡易査定を依頼する際には、「おうちクラベル」の活用がおすすめです。おうちクラベルは、東証プライム上場企業のSREホールディングスが運営する不動産一括査定です。一度の60秒入力で、複数の不動産会社にまとめて簡易査定の依頼ができます。
訪問査定
訪問査定とは、不動産会社の担当者がマンションを実際に確認したうえで行う査定です。
簡易査定で確認した情報に加え、マンションの劣化状況や採光、風通し、景観、水回り設備のグレードなどを総合的に踏まえて査定を行います。実際にそのマンションを売りに出す際には、訪問査定による査定額をベースに売り出し価格を決めることになるでしょう。
訪問査定では不動産会社の担当者に現地へ来てもらう必要があるうえ、査定には1時間から2時間程度を要します。そのため、多くの不動産会社に依頼することは現実的ではなく、3社から5社程度への依頼に留めることが多いでしょう。
一般的に、訪問日から1週間から10日ほどで査定の結果が出ます。
マンションの査定を匿名で依頼するメリット
マンションの査定を匿名で依頼する主なメリットは次のとおりです。
- 個人情報を入力する必要がない
- 査定結果がすぐに見られることが多い
個人情報を入力する必要がない
マンションの匿名査定では、個人情報を入力する必要がありません。そのため、不動産会社から営業の連絡が入ることがないでしょう。
査定結果がすぐに見られることが多い
匿名査定のほとんどは、人の手を介さないAI査定です。そのため、入力後にすぐに査定結果を見ることができます。
マンションの査定を匿名で依頼するデメリットと注意点
マンションの査定を匿名で依頼する際には、デメリットもあります。主なデメリットと注意点は次のとおりです。
- 査定の精度が低い
- 不動産会社に売却について相談できない
- 匿名査定のみではマンションの売却ができない
査定の精度が低い
マンションの匿名査定（AI査定）の精度は、一般的にさほど高いものではありません。特にマンションの売買事例が少ない地域であればなおさらです。
そのため、あくまでも参考程度に留めることをおすすめします。
不動産会社に売却について相談できない
不動産会社の担当者に査定額の根拠を確認したり、売却について相談したりしたい場合もあるでしょう。しかし、匿名査定はAIによる自動査定であるため、担当者に直接相談することはできないことが一般的です。
匿名査定のみではマンションの売却ができない
匿名査定の結果のみではマンションを売却することができません。マンションを実際に売り出す際には、改めて不動産会社に査定を受ける必要があります。
そのため、マンションの売却を前提としている場合には匿名査定ではなく、まずは簡易査定の依頼を行うとよいでしょう。
マンションの簡易査定には、ぜひ「おうちクラベル」の不動産一括査定をご利用ください。おうちクラベルでは、一度の入力で複数の優良な不動産会社にまとめて査定を依頼できます。
マンションの匿名査定がおすすめできないケース
マンションの匿名査定では、個人情報を入力することなく即座に査定額を確認できるため非常に便利です。しかし、次の場合にはマンションの匿名査定はおすすめできません。
- より正確な査定額を知りたい場合
- マンションを売却したい場合
より正確な査定額を知りたい場合
マンションの匿名査定はAIが機械的に算定するものであり、精度は高くありません。そのため、より正確な査定額が知りたい場合には簡易査定と訪問査定の依頼をするとよいでしょう。
初めに複数社に簡易査定を依頼し、その結果を踏まえて絞った数社に訪問査定を依頼するという流れです。
複数の不動産会社に簡易査定を依頼した場合には、ぜひ「おうちクラベル」をご利用ください。
マンションを売却したい場合
マンションの売却を前提としている場合、匿名査定はおすすめできません。匿名査定の結果を基にマンションを売却することはできず、改めて簡易査定や訪問査定を依頼する必要が生じるためです。
マンションの売却をご検討の際には、まず「おうちクラベル」の不動産一括査定をご利用ください。複数社による査定額を比較することでマンションの売却適正額が把握しやすくなるほか、査定額や査定額の説明などを比較することでそのマンションの売却に強い不動産会社を選定しやすくなるでしょう。
マンションの査定から売り出しまでの基本的な流れ
マンションの査定から売り出しまではどのような流れになるのでしょうか？基本的な流れは次のとおりです。
- 簡易査定（机上査定）を依頼する
- 簡易査定（机上査定）の結果を確認する
- 数社に絞って訪問査定を依頼する
- 訪問査定の準備をする
- 訪問査定を受ける
- 査定結果を踏まえて不動産会社を選定する
- 不動産会社と媒介契約を締結する
- マンションを売りに出す
簡易査定（机上査定）を依頼する
初めに簡易査定の依頼をしましょう。
簡易査定は1社のみに依頼するのではなく、複数の不動産会社に依頼することをおすすめします。その主な理由は次の2つです。
- 複数の不動産会社による査定額を比較することで適正な査定額を把握しやすくなるから
- 査定額や査定額への説明などを比較することで訪問査定を依頼する不動産会社を選定しやすくなるから
しかし、自分で複数の不動産会社を回って査定の依頼をしていては、多大な手間がかかります。
そこでおすすめなのが「おうちクラベル」の不動産一括査定です。おうちクラベルでは次の情報を入力するだけで、複数の優良な不動産会社にまとめて査定の依頼ができます。
- マンションの所在地
- 部屋番号
- マンションの現況（「ご自身が居住中」、「賃貸中」など）
- おおよその築年数
- 間取り
- おおよその専有面積
- 入力者と名義人との関係
- 売却理由
- 売却希望時期
- 査定結果が送付されるメールアドレスなどの情報
専有面積や築年数などは不明であっても査定が可能です。しかし、可能な限り正確な情報を入力した方がより正確な査定結果を得やすくなります。入力に必要な情報は、マンション購入時の契約書や名義変更時の書類などで確認できます。
簡易査定（机上査定）の結果を確認する
簡易査定の結果は、数時間から1日程度でわかることが多いでしょう。
おうちクラベルでは、不動産一括査定の依頼後にAIによる査定額も確認できます。AIによる査定額と不動産会社による査定額をともに確認することで、そのマンションの売却適正額をより正確に把握しやすくなります。
数社に絞って訪問査定を依頼する
簡易査定の結果を踏まえて、訪問査定を依頼する不動産会社を数社選定します。訪問査定を依頼する不動産会社の数に制限はありませんが、一般的には3社から5社程度に絞って依頼することが多いでしょう。
訪問査定を依頼する不動産会社を決めたら、その不動産会社の担当者に連絡を取って日程調整を行います。併せて必要書類についても確認しておくとよいでしょう。
訪問査定の準備をする
訪問査定の日までに、訪問査定の準備を行います。
必要書類は訪問査定を依頼した不動産会社から案内されることが多いため、その案内に従って準備を進めます。一般的には次の書類などが指定されることが多いでしょう。
- 不動産の全部事項証明書（全国の法務局から誰でも取得可能）
- 固定資産税課税明細書（固定資産税の納付書に同封の書類）
- 建物図面
- マンションの管理規約
- 大規模修繕工事計画
- 月々の管理費や修繕積立金などが分かる書類
- マンションを購入した際のパンフレットや説明資料、契約書、重要事項説明書
- リフォームをした際の契約書
- ローン返済予定表
- 耐震診断報告書
- アスベスト使用調査報告書
- 住宅性能評価書
ただし、全部事項証明書は不動産会社側で用意してくれることも少なくありません。
どのような書類が必要であるかわからない場合には、マンションを購入時の書類やそのマンションを相続などで引き継いだ際の書類、リフォームをした際の書類などを一式揃えておくとよいでしょう。
なお、訪問査定の前にハウスクリーニングする必要まではありません。ただし、清掃や整理整頓をしておくと、不動産会社の担当者がマンションの状態を確認しやすくなるでしょう。
訪問査定を受ける
あらかじめ取り決めた日時に、訪問査定を受け入れます。訪問査定にかかる時間は1時間から2時間程度が目安です。
ただし、マンションの状態などによってはさらに時間を要する可能性があります。また、訪問した担当者が信頼できそうな人の場合、マンションの売却についてその場で相談したいことが生じる可能性もあるでしょう。
そのため、訪問査定後にはあまり予定を詰め過ぎず、余裕のあるスケジュールを組むことをおすすめします。
査定結果を踏まえて不動産会社を選定する
訪問査定の結果は訪問後1週間から10日ほどでわかることが一般的です。この結果を踏まえ、マンションの売却を依頼する不動産会社を選定しましょう。
不動産会社は査定額の高さのみで決めるのではなく、担当者の誠実さや査定額への説明などを踏まえて決めることをおすすめします。なぜなら、先ほども解説したように、査定額はマンションがその価格で売れるという保証ではないためです。
特に他社より高い査定額を提示した不動産会社がある場合には、他社より査定額が高い理由をよく確認し、その理由を踏まえて依頼するかどうかを検討するとよいでしょう。
不動産会社と媒介契約を締結する
マンションの売却を依頼する不動産会社を選定したら、その不動産会社との間で媒介契約を締結します。媒介契約には次の3種類があります。それぞれの特徴を把握し、マンションの状況や希望に合った契約を選択してください。
| 専属専任媒介契約 | 専任媒介契約 | 一般媒介契約 | |
|---|---|---|---|
| 他の不動産会社へ重ねての依頼 | 不可 | 不可 | 可 |
| 自己発見取引 （自分で買い手を見つけての売買） | 不可 | 可 | 可 |
| 指定流通機構への登録 | 5営業日以内 | 7営業日以内 | 義務なし |
| 報告頻度 | 1週間に1回以上 | 2週間に1回以上 | 指定なし |
どの媒介契約を選べばよいのかは一概にいえるものではありません。
ただし、そのマンションが築古であったり駅から遠かったり比較的売りにくい場合は、「専属専任媒介契約」や「専任媒介契約」を選択するとよいでしょう。なぜなら、これらの契約では他の不動産会社と重ねて媒介契約の締結ができず、不動産会社に販売へ尽力してもらいやすくなるためです。
一方、築浅であるなど比較的売りやすいマンションの場合は「一般媒介契約」を選択するとよいでしょう。
マンションを売りに出す
不動産会社と媒介契約を締結したら、マンションの売り出しを開始します。マンションを売り出すにあたっては売り手側の希望販売価格である「売り出し価格」を決めますが、これは訪問査定の結果をベースに設定することが多いでしょう。
この売り出し価格が高すぎると、マンションがなかなか売れない可能性があります。一方、売り出し価格が低すぎると、安く売ってしまい後悔するかもしれません。
そのため、売り出し価格は不動産会社の担当者とよく相談したうえで決めることをおすすめします。
まとめ
AI査定を活用すれば、匿名でマンションの査定を受けることが可能です。個人情報を入力することなく即座に査定額が表示されるため非常に手軽でしょう。
一方で、匿名査定（AI査定）は過去の売買事例をもとにAIが機械的に査定額を算出するものであり、個別事情は反映されません。実際の売却額との差が大きくなる可能性があるため、あくまでも参考程度に留める必要があるでしょう。
マンションの売却をご検討の際には、匿名査定（AI査定）ではなく「おうちクラベル」の活用がおすすめです。おうちクラベルは、東証プライム上場企業のSREホールディングスが運営する不動産一括査定です。
一度の入力で複数の不動産会社に査定が依頼でき、自分で複数の不動産会社を回って査定を依頼する必要がありません。また、査定の依頼先である不動産会社は実績豊富な優良企業ばかりであるため、安心してご利用いただけます。
マンションの売却をご検討の際には、ぜひ「おうちクラベル」をご利用ください。
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この記事の監修者
りこ行政書士事務所 代表行政書士
2017年度行政書士試験合格後、2021年沖縄県中城村にて「りこ行政書士事務所」を開業。現在は遺言書作成・相続業務、農地転用許認可申請を中心に取り扱う。実務経験を交えたわかりやすい遺言書・相続セミナー、マネーセミナーを開催中。行政書士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引士など34個の資格を保有。
＜保有資格＞
宅地建物取引士｜行政書士｜ビジネス実務法務検定2級｜日商簿記2級｜測量士補｜FP2級｜賃貸不動産経営管理士｜その他多数
