【2024】マンション売却に消費税はかかる?かかるケース・かからないケース

マンションを売却する場合、消費税はかかるのでしょうか?消費税がかかるにもかかわらず、消費税分を上乗せせずに売却価格を設定してしまうと、消費税分だけ損をしてしまいかねません。

そこで今回は、マンションの売却で消費税がかかるケースについて詳しく解説します。投資用マンションを売却する場合には、消費税にも注意が必要です。

消費税の基本

消費税の基本

はじめに、消費税の概要と基本的な計算方法について解説します。

消費税とは

消費税とは、商品の販売やサービスの提供などの取引に対して課される税金です。誤解も少なくありませんが、消費税の負担者は事業者ではなく、最終的な商品などの購入者である消費者です。

しかし、消費者がそれぞれ確定申告をして消費税を納めることは、現実的ではありません。そのため、消費者はお店や企業に対して商品やサービスの代金とともに消費税を預け、これを事業者が取りまとめて国に納付しています。

なお、厳密にいうと消費税は10%ではなく、消費税7.8%と地方消費税2.2%です。この合計が10%であるため、簡易的に「消費税率10%」といわれることが少なくありません。

この記事においても、以後は消費税と地方消費税の内訳には触れず、簡易的に消費税率を10%として解説します。また、一部の商品などでは8%の軽減税率が適用されますが、この記事では考慮していません。

消費税の基本の計算方法

先ほど解説したように、消費税では消費者から預かった消費税を事業者がまとめて納める形がとられています。

たとえば、定価100円の鉛筆1本には10円(=100円×10%)の消費税がかかります。そこで、消費者はお店に対して消費税を含めて110円のお金を支払います。

しかし、このうち10円はお店の儲けではなく、お店が消費者から一時的に預かったに過ぎません。1年間にこの鉛筆が100本売れた場合、お店はトータル1,000円(=10円×100本)の消費税を預かったこととなります。

しかし、この1,000円をそのままお店が納めるわけではありません。なぜなら、お店もこの鉛筆を仕入れる際に消費税を負担しているためです。

この鉛筆の1本あたりの仕入れ価格が50円(=税込55円)である場合、お店は100本の鉛筆を仕入れるために500円(=5円×100本)の消費税を払っています。また、お店の電気代として年間に1,000円(=税込1,100円)払っている場合、100円の消費税がかかっています。

この場合、お店が納めるべき消費税は、預かった消費税から支払った消費税を引いた次の金額です。

  • 納めるべき消費税学=1,000円-(500円+100円)=400円

実際にはこれより格段に金額が大きいうえ、取引内容もさらに複雑ですが、基本的な考え方は解説したとおりです。

マンションの売却で消費税がかからないケース

マンションの売却で消費税がかからないケース

マンションの売買では、消費税がかからない場合が少なくありません。まずは、消費税がかからないケースについて解説します。

マンションの土地部分には消費税はかからない

マンションは1つの資産ではなく建物部分と土地部分とに分かれています。このうち、土地部分の譲渡について消費税はかかりません。なぜなら、土地は「消費」する性質のものではなく、土地の譲渡は消費税の非課税取引とされているためです。

これは、売主が一般個人の場合も、事業者の場合も異なるところではありません。

参照元:No.6225 地代、家賃や権利金、敷金など(国税庁)

マイホームやセカンドハウスの売却の場合

土地部分の譲渡が消費税の非課税取引であることに対し、建物部分の譲渡は原則として課税取引に該当します。しかし、課税取引であるからといって、売主が消費税を納める必要があるかどうかは一概にいえるものではありません。なぜなら、事業者でない人が資産を譲渡した場合には、消費税が課税されないこととされているためです。

参照元:No.6931 消費税等と譲渡所得(国税庁)

そのため、事業者ではない売主がマイホームやセカンドハウスであるマンションを売却する場合は、建物部分についても消費税の課税対象とはなりません。

また、たとえ売主が事業を営んでいて消費税の課税事業者であったとしても、生活用資産であるマンションやセカンドハウスなどの売却は消費税の課税対象外となります。

たとえば、個人事業で文具店を営んでいる人がこの文具店で消費税の課税事業者であったとしても、自宅などの売却に対して消費税は課されないということです。消費税の課税事業者については、後ほど詳しく解説します。

なお、マイホームやセカンドハウスであるマンションの売却をご検討の際には、東証プライム上場企業のSREホールディングスが運営する「おうちクラベル」の不動産一括査定をご利用ください。おうちクラベルは、一度の入力で複数の不動産会社にまとめて査定を依頼できる不動産一括査定です。

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免税事業者である場合

マイホームやセカンドハウスであるマンションが消費税の課税対象にならない一方で、賃貸に出しているマンションや、事業用に使用しているマンションの売却は、原則として消費税の課税対象となります。

しかし、マンションの売主が消費税の「免税事業者」である場合、結果的に消費税を納める必要はありません。免税事業者とは、次のすべてに該当する事業者です。なお、ここでは個人事業者であることを前提としており、法人の場合の解説は省いています。

  1. 基準期間(前々年)における課税売上高が1,000万円以下であること
  2. 特定期間(その年の前年1月1日から6月30日までの期間)における課税売上高が1,000万円以下であること(ただし給与等支払額の合計額により判定することも可能)
  3. インボイス発行事業者としての登録をしていないこと

投資用マンションを売却する場合でも、売主がこれらに該当する免税事業者である場合は消費税の納付は必要ありません。

参照元:No.6501 納税義務の免除(国税庁)

マンションの売却で消費税がかかるケース

マンションの売却で消費税がかかるケース

次の要件をすべて満たす場合には、マンション(建物部分のみ)の売却に係る消費税を納めなければなりません。

  • 賃貸用や事業用マンションの売却であること
  • 売却した人が消費税の課税事業者であること

そのため、消費税分が持ち出しとならないためには、消費税分を乗せて売り出し価格を設定する必要があります。

賃貸用や事業用マンションの売却であること

1つ目の要件は、売却するマンションが事業に使用しているマンションや投資用マンションであることです。

なお、不動産会社にはそれぞれ得意な物件種別やエリアがあることが少なくない中で、投資用マンションや事業用マンションは特に得意・不得意が分かれやすい物件種別です。そのため、投資用や事業用のマンションを売却で損をしないためには、そのマンションの売却に強い不動産会社を慎重に選定する必要があるでしょう。

そのマンションの売却に強い不動産会社をお探しの際には、ぜひ「おうちクラベル」の不動産一括査定をご利用ください。複数社による査定額や対応などを比較することで、そのマンションの売却に強い不動産会社を見つけやすくなるでしょう。

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売却した人が消費税の課税事業者であること

2つ目の要件は、売却する人が消費税の課税事業者であることです。消費税の課税事業者(個人事業)は先ほど解説した免税事業者とは反対に、次のうち1つでも該当する者です。

  1. 基準期間(前々年)における課税売上高が1,000万円超である者
  2. 特定期間(その年の前年1月1日から6月30日までの期間)における課税売上高が1,000万円超である者(ただし給与等支払額の合計額により判定することも可能)
  3. インボイス発行事業者としての登録をした者

参照元:No.6501 納税義務の免除(国税庁)

マンションの売却で消費税がかかる主な費用

マンションの売却で消費税がかかる主な費用

マンションの売却においては、さまざまな費用が発生します。これらの費用は、原則として消費税の対象です。マンションの売却で必要となる費用のうち、消費税の対象となるものは次のとおりです。

  • 不動産会社に支払う仲介手数料
  • ハウスクリーニング費用
  • 司法書士報酬
  • ローンの繰り上げ返済手数料

不動産会社に支払う仲介手数料

不動産会社にマンションの売却の依頼をする場合、売買契約の成立時に仲介手数料が発生します。この仲介手数料は消費税の課税対象です。

仲介手数料の額には上限が定められており、上限額は次のとおりです。

マンションの売却価格 仲介手数料の上限額
200万円以下の部分 売却価格の5%+消費税
200万円を超え400万円以下の部分 売却価格の4%+消費税
400万円を超える部分 売却価格の3%+消費税

※マンションの売却価格が400万円超である場合には、次の式でまとめて算定することも可能です。

  • 仲介手数料の上限額=売却価格×3%+6万円+消費税

なお、マンション売買の仲介手数料を支払う必要があるのは、そのマンションの売却を成功させた不動産会社に対してのみです。複数の不動産会社に査定を依頼したからといって、コンタクトを取った不動産会社のすべてに仲介手数料が発生するわけではありません。

マンションをよりよい条件で売却するには、複数の不動産会社に査定を依頼するとよいでしょう。査定の依頼には、一度の入力で複数の不動産会社に査定を依頼できる「おうちクラベル」のご利用がおすすめです。

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ハウスクリーニング費用

マンションを売却して引き渡す場合、入居者がいる賃貸マンションである場合を除き、ハウスクリーニングを入れることが一般的です。このハウスクリーニングの費用も、原則として消費税の課税対象となります。

ハウスクリーニングの費用は数万円程度ですが、部屋の広さや汚れ具合等によって異なるため、あらかじめ清掃会社に確認しておくとよいでしょう。

司法書士報酬

売却するマンションに抵当権がついている場合、売却にあたってこの抵当権を抹消しなければなりません。抵当権とは、契約どおりにローンが返済できなくなった場合において、金融機関がそのマンションを競売(けいばい)にかけ、その対価からローン残債の返済を受けるタイプの担保のことです。

抵当権の抹消手続きは司法書士に依頼することが多く、1万円から2万円程度の報酬がかかります。この司法書士報酬にも消費税が加算されます。

ローンの繰り上げ返済手数料

マンションに付された抵当権を抹消するには、その抵当権の対象となっているローンを完済しなければなりません。

ローンの繰り上げ返済をする場合には、金融機関によって1万円から3万円程度の繰上げ返済手数料がかかります。この繰上げ返済手数料も、消費税の課税対象です。

マンションの売却で消費税がかかる場合の対策

マンションの売却で消費税がかかる場合の対策

マンションの売却で消費税がかかる場合には、どのような対策を講じればよいのでしょうか?主な対策と対応は次のとおりです。

  • 早めに税理士へ相談する
  • 簡易課税か本則課税かを検討する
  • 期限内に確定申告を行う

早めに税理士へ相談する

マンションの売却で消費税がかかりそうな場合は、早めに税理士へ相談しておきましょう。早めに相談をすることでかかる税金の額を把握することができ、資金計画を立てやすくなります。

簡易課税か本則課税かを検討する

消費税の課税事業者である場合、基準期間における課税売上高が5,000万円以下であれば、通常の本則課税のほかに簡易課税を選択することも可能です。

本則課税とは、先ほど解説したように納付すべき税額を「預かった消費税額-支払った消費税額(仕入れに係る消費税額)」で算定する方法です。

一方、簡易課税とは、業種ごとに定められた一定割合を売上に係る消費税額に乗じることで、仕入れに係る消費税額を算定する方法を指します。

その事業者の取引内容などによって異なるため一概にいえるものではありませんが、賃貸用マンションを売却して新たな賃貸用マンションに買換えた場合など支払った消費税が多い年では、本則課税の適用を受けた方が納めるべき消費税が少なくなる可能性が高いでしょう。

なお、簡易課税制度の適用や取りやめをするには、原則としてその課税期間の初日の前日までに所定の届出書を提出しなければなりません。つまり、これまで簡易課税の適用を受けていた個人事業者が2023年8月にマンションを売り、この年分の消費税を本則課税で計算したい場合、2022年12月31日までに届出書を出しておく必要があるということです。

また、年によって本則課税と簡易課税とを自由に行き来できるわけではなく、簡易課税の適用を受けたらその後2年間は継続することを求められます。そのため、マンションの売却が消費税の課税対象となる場合は、マンション売却を予定している前年や前々年など可能な限り早く税理士に相談しておくことをおすすめします。

参照元:No.6505 簡易課税制度(国税庁)

期限内に確定申告を行う

マンションの売却が消費税の課税対象となる場合は、期限内に確定申告を行いましょう。消費税の確定申告期限は、課税期間終了日の翌日から2か月以内(個人事業の場合は翌年3月31日)です。

所得税とは多少期限が異なりますが、所得税の確定申告期限に合わせて一緒に申告をすることが多いでしょう。

マンションの売却で消費税以外にかかる主な税金

マンションの売却で消費税以外にかかる主な税金

マンションの売却は、消費税以外にどのような税金の対象となるのでしょうか?マンションの売却でかかる主な税金は次のとおりです。

  • 譲渡所得税
  • 印紙税
  • 登録免許税

譲渡所得税

マンションを売却して譲渡益(利益)が出る場合は、譲渡所得税がかかります。譲渡所得税は納付書が送られてくるのではなく、自分で計算をして納税しなければなりません。譲渡所得税は次の式で算定します。

  • 課税譲渡所得金額=収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額
  • 譲渡所得税額=課税譲渡所得金額×税率

ただし、マイホームであるマンションを売った場合には「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」などの特例が使えることが多くあります。そのため、たとえ「収入金額-(取得費+譲渡費用)」がプラスになっても、特別控除額として最大3,000万円を差し引けることから、結果として譲渡所得税は発生しないことも少なくありません。

一方で、投資用マンションなどでは使える特例がほとんどなく、譲渡益が出る場合の税金は高くなる可能性があります。

マンションを売却する場合には、あらかじめ税理士などの専門家に譲渡所得税についても相談しておくとよいでしょう。特例が使えるかどうかによって譲渡所得税額に大きな差が生じる可能性が高いため、特例の要件についてもあらかじめ確認しておくと安心です。

印紙税

印紙税とは、マンションの売買契約書など契約書や領収証などに課される税金です。印紙税は郵便局や法務局、市区町村役場などで収入印紙を購入し、その収入印紙を契約書に貼付して消印をする形で納付します。

マンションの売買契約書にかかる印紙税は、2024年3月31日まで軽減されています。本則税率と軽減税率はそれぞれ次のとおりです。

契約金額
(マンションの売買価格)
本則税率 軽減税率
(2024年3月31日まで)
50万円以下 400円 200円
100万円以下 1,000円 500円
500万円以下 2,000円 1,000円
1,000万円以下 10,000円 5,000円
5,000万円以下 20,000円 10,000円
1億円以下 60,000円 30,000円
5億円以下 100,000円 60,000円
10億円以下 200,000円 160,000円
50億円以下 400,000円 320,000円
50億円超 600,000円 480,000円

なお、マンションの売買契約書は売主と買主がそれぞれ1通保管することが多く、印紙もそれぞれ自分の保管する分を負担することが一般的です。また、マンションの売買契約を電子契約で締結する場合は、課税対象となる書類がないため印紙税は課されません。

登録免許税

登録免許税とは、不動産登記などに対してかかる税金です。

マンションの名義を売主から買主へ変える登記にも登録免許税がかかります。名義変更にかかる登録免許税は、買主が負担することがほとんどでしょう。

一方、売却するマンションに抵当権が付いている場合は、遅くとも売却時点までに抹消しなければなりません。この抹消登記に関する登記費用は売主が負担するものです。

抵当権の抹消登記にかかる登録免許税は、「不動産の数×1,000円」で算定します。一戸建ての場合、建物と土地とが別々に登記されていることが多いため、「不動産の数」が複数となります。

一方で、比較的新しいマンションの場合、土地建物が一体となった形態(「敷地権」といいます)であることが多く、「不動産の数」は1つであることがほとんどでしょう。

まとめ

マイホームであるマンションや別荘として利用しているマンションを売る場合は、消費税の課税対象になりません。一方、事業用として使っているマンションや投資用マンションを売る場合は、マンションの建物部分が消費税の課税対象となります。

ただし、マンションの売主が免税事業者の場合は、消費税を納める必要はありません。

マンションの売却で消費税がかかるかどうかは、このように状況によって異なります。そのため、特に事業用マンションや投資用マンションを売る場合には、あらかじめ税理士に相談しておくとよいでしょう。

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この記事の監修者

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