マンション売却の流れと費用を紹介!得する売り時はいつ?

いざマンションを売却しようとすると、思ったよりもやることが多く戸惑う方も多くいます。そのため、売却活動を始める前に、マンション売却の流れや費用を知っておくことが大切です。

本記事ではマンションを売却する際に知っておきたい知識について、下記の順番で解説します。

  • マンションの2つの売却方法
  • マンションを売却する流れ
  • マンションの売却にかかる費用
  • マンションの売却に適した時期
  • マンションを売却する際の不動産会社の選び方

損をしたり失敗したりしないためにも、マンション売却の全体像をふまえておきましょう。

1.マンション売却の仲介と買取

マンションを売却する方法には、「仲介」と「買取」の2種類があります。それぞれの特徴について解説します。

1-1.仲介とは

不動産仲介会社が売主と買主の間に立ち、売買契約を成立させる方法を「仲介」と呼びます。マンションをはじめとした不動産の売買では一般的で、マンション売却と聞いて多くの方が思い浮かべるのはこの方法でしょう。

不動産取引の法律である宅地建物取引業法上では、仲介は「媒介」と定義されています。売主と買主の間に入る不動産仲介会社は、宅地建物取引業者として免許登録することが義務付けられています。

不動産仲介会社を利用したマンション売却のメリットとしては、市場価格で売れる可能性が高い点があげられます。仲介を依頼された不動産仲介会社は、インターネット上のポータルサイトに掲載したり、自社で抱えている顧客に紹介したりといった方法で、広い範囲に対して買主を募ります。複数の購入希望者に出会えるだけでなく、不動産仲介会社によって売却価格の交渉も行ってもらえるため、市場価格で売却したい場合は「仲介」を利用するのがおすすめです。

ただし、購入希望者の内覧対応をしたり条件交渉をしたりする必要もあることから、売却が成立するまでに一定程度の期間がかかります。後に解説する「買取」を利用した方が、現金化までのスピードは早いといえます。

1-2.買取とは

不動産仲介会社が売主と買主を結びつける「仲介」とは異なり、「買取」の場合は、不動産会社が売主から直接マンションを買い取ります。

「買取」でのマンション売却は、なんといっても売却までのスピードが早い点が大きなメリットです。査定価格やその他の条件に納得すれば、すぐに売却できるため、急いでマンションを手放さなくてはならない事情のある方や、まとまった資金を早く確保したい方におすすめの方法です。

しかし、市場価格で売却できる仲介とは異なり、買取でのマンション売却では買取価格が市場価格の20〜40%程度安くなる傾向にあります。

不動産会社はマンションを買い取ったあと、物件をリフォーム・リノベーションして価値を高めて再販するというビジネスモデルをとっています。そのため「下取り価格」でマンションを買い取る必要があり、買取価格が市場価格よりも安くなるのです。

仲介と買取それぞれのメリット・デメリットをふまえ、ご自身の売却のケースに照らし合わせて、仲介にするのか、買取にするのかを選ぶようにしましょう。

2.マンション売却の流れ

マンションの売却が完了するまでには、多くの手順を踏む必要があります。スムーズに売却活動を進めるためにも、全体の大まかな流れを把握しておきましょう。

2-1.物件のおおよその相場を把握する

マンションを売却するにあたって最初にすべきことは、大まかな相場を調べておくということです。

できるだけ高く売却したいからといって、売出価格を高く設定してしまうと問い合わせが来ず、逆に低く設定しすぎてしまうと損をしてしまいます。そのため、売却を検討しているマンションと似た条件の物件が、現在どれくらいの価格で売りに出されているのか、過去にどれくらいの価格で成約になったかを調べておき、損をせずに売却できるラインを探ることが重要なのです。

マンションの相場を知るには、不動産情報が掲載されたポータルサイトや、レインズ・マーケット・インフォメーションと呼ばれるサイトを活用する方法があります。

レインズ・マーケット・インフォメーションは、通常不動産会社しか閲覧できない「レインズ(指定流通機構)」に掲載されている情報を、一般の人向けにしたWEBサイト。過去の成約価格が豊富に掲載されているため、相場感の把握に役立ちます。

2-2.必要書類を準備する

お持ちのマンションの相場を調べるのと合わせて、査定時に必要な書類も準備しておきましょう。

マンション査定で必要になる書類としては、下記のようなものがあります。

  • 間取図などの図面
  • マンション販売時のパンフレット
  • マンション購入時の売買契約書
  • マンション購入時の重要事項説明書
  • マンションの管理規約

上記のほかにも、室内をリフォームしている場合はリフォーム時の工事請負契約書、本人確認書類などが必要になる場合もあります。

査定する不動産仲介会社によっても必要書類は異なるため、査定依頼時に問い合わせて準備しておくようにしましょう。

2-3.査定を依頼する

不動産仲介会社に査定を依頼する方法は大きく分けて2つあります。

1つ目は、不動産仲介会社に直接依頼する方法。特別査定依頼したい会社が決まっている場合はこの方法でも問題ありませんが、複数の会社に査定依頼をする場合、多くの手間や時間がかかるという難点があります。

少しでも手間を省いて、一度に多くの不動産仲介会社に査定依頼を出したい場合は、2つ目の不動産一括査定サイトを利用する方法をおすすめします。申込フォームにマンションと売主の情報を一度入力するだけで、マンション売買に対応している不動産仲介会社にまとめて査定依頼を送れるという効率の良さが魅力です。

不動産の査定には、書類やサイトに入力した情報だけをもとに査定する「机上査定」と、実際に現地を訪れて査定する「訪問査定」があります。すぐに売却したい場合は訪問査定を選択してもいいですが、マンションの売却が初めてで、どこに依頼したらいいかわからない場合は、机上査定から始めるのがおすすめです。

2-4.不動産会社が査定を行う

不動産仲介会社に机上査定を依頼すると、早くて当日、遅くとも3日程度で査定結果が送られてくるため、そのなかから訪問査定を依頼する不動産仲介会社を選びます。

査定額が高い会社を選ぶべきなのはもちろんのこと、査定結果について電話などで問い合わせた際に、質問にしっかりと応えてくれる会社や、売主の希望や不安に真摯に寄り添える営業担当者がいる会社を選ぶようにすると、最終的に納得のいく取引ができる可能性が高まります。

訪問査定は実際に担当者が現地を訪問する必要があるだけでなく、マンションの周辺環境も合わせて確認します。査定が終了するまでに数時間かかることもあるため、不動産仲介会社と日程調整をする際は、余裕を持ってスケジュールを組むようにしましょう。

訪問査定の結果は1週間から10日程度で売主のもとに届きます。

2-5.媒介契約を結ぶ

複数社から受け取った訪問査定の結果を比較し、不動産仲介会社に正式に仲介を依頼します。この際に、不動産仲介会社と売主との間で締結するのが「媒介契約」です。

媒介契約には、「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3つの種類があり、それぞれの違いは下記の表のとおりです。

 

一般媒介契約

専任媒介契約

専属専任媒介契約

複数社との媒介契約締結

不可

不可

売主が自ら見つけた買主との契約

不可

レインズ(指定流通機構)への登録義務

任意

7営業日以内

5営業日以内

売却活動状況(業務処理)の報告義務

任意

2週間に1回以上

1週間に1回以上

一般媒介契約は、一度に複数の不動産会社にマンション売却を依頼できるため、広範囲で買主を探せるというメリットがある一方、不動産仲介会社としては他社で成約されてしまう可能性があるため、積極的に売却活動を行ってもらえないケースもあります。

逆に専属専任媒介契約の場合は、積極的に売却活動をしてもらえる一方で、売手自身が購入希望者を見つけたとしても、必ず不動産仲介会社を通じて契約する必要があります。

マンション売却の目的や状況に応じて、媒介契約の形態を選ぶことが重要です。

2-6.売却活動を開始

不動産仲介会社と売買契約を締結したら、いよいよマンション売却に向けての売却活動を開始します。

不動産仲介会社は、不動産のポータルサイトやレインズ(指定流通機構)へ物件の情報を登録したり、自社のサイトに広告を出したりして、できるだけ多くの人の目に触れる形で宣伝を行います。

購入検討者から問い合わせがあった場合、内覧は売主が立ち会うのが一般的です。ただし、購入検討者は週末に内覧を希望することが多いため、不動産仲介会社の担当者に代わりに立ち会ってもらう場合もあります。

問い合わせごとに内覧に応じるほかにも、誰でも気軽に見に来てもらいたいという方は「内覧会」という形で物件を開放する方法もあります。

また、専任媒介契約・専属専任媒介契約を締結している場合、不動産仲介会社は売主に対して、定期的に業務処理状況の報告を行わなければなりません。売却活動の内容や問い合わせ状況を見ながら、必要に応じて売出し条件を調整しましょう。

2-7.売買契約を結ぶ

購入検討者から購入申込書を受け取ったのち、売買金額をはじめとした契約条件の交渉がまとまったのちに、売買契約の締結に移ります。

まずは不動産仲介会社の宅地建物取引士が、買主に対して行うのが「重要事項説明」です。

これは物件を購入するかどうかの最終的な判断材料になるもので、物件の詳細や取引条件のほか、法令上の制限や設備状況、物件を購入するにあたっての注意点について説明します。

重要事項説明の内容に買主が承諾したのちに、売主と買主の双方が売買契約書への署名・捺印を行います。それと同時に、買主は売主に手付金を支払います。手付金は、買主が物件を購入する意思を示すもので、物件の引き渡し時に売却金額に充当することになります。手付金の金額は、取引金額の10%程度が相場です。

2-8.決済と物件の引渡し

売買契約書で定めた引渡し日にも多くの手続きが必要になります。

まずは売却金額の残金の受領と領収書の発行です。売買契約を締結した際に買主から受け取った手付金の金額を差し引き、残りの売却金額を買主から受け取ります。

さらに、マンションにかかる固定資産税や管理費は、日割り計算を行い引渡し日以降分を買主が負担することになるため、このタイミングで合わせて清算を行います。

マンションを売却することにより、物件の所有権が売主から買主に移動するため、所有権移転登記も行われます。

残金決算・固定資産税等の清算・所有権移転登記・鍵と必要書類の引渡しは、同日に行うのが一般的です。

2-9.確定申告

マンションを売却した翌年に、確定申告が必要な場合があるため注意が必要です。

確定申告を行わなくてはならないのは、マンションを売却したことで利益が出た場合。簡単に言うと、購入時の価格よりも売却時の価格の方が高かった場合です。この利益のことを「譲渡所得」と呼び、譲渡所得がプラスになった場合は、確定申告が義務とされています。

ただし、譲渡所得がプラスになっていなくても、確定申告をしたほうがいいケースもあります。

マンション売却についてはいくつか特例や特別控除がありますが、確定申告を行わなければ適用されません。

ご自身がマンションを売却した際に確定申告が必要なのか、適用される特例があるかについては、必要に応じて税理士に相談して事前に確認しておくようにしましょう。

3.マンション売却にかかる費用・税金

マンションを売却する際には、買主側だけでなく、売主側も負担すべき費用があります。どのような費用がかかり、いくら準備しておく必要があるかを知っておきましょう。

3-1.仲介手数料

「仲介手数料」とは、マンションの売却が決定し成約に至った場合に、仲介に入った不動産仲介会社に支払うお金です。仲介手数料の上限金額は宅地建物取引業法によって定められており、下記の計算式にもとづいて計算されます。

取引金額

計算式

200万円以下

取引価格×5%+消費税

200万円超400万円以下

取引価格×4%+2万円+消費税

400万円超

取引価格×3%+6万円+消費税

上記の計算式は「速算式」と呼ばれ、宅地建物取引業法で定められた計算式を、マンション売買の現場で使いやすいようにしたものです。

この計算式で求められるのは、不動産仲介会社が一度の取引で依頼主の一方から受け取れる報酬額の上限額です。不動産仲介会社が売主側だけを担当している場合は売主からのみ、売主と買主の双方を担当している場合は双方から報酬を受け取れるとされています。

ただし、これはあくまでも上限金額のため、不動産仲介会社と依頼主との間で合意した場合は、仲介手数料を減額したり無料にしたりすることもありえます。

3-2.印紙税

マンション売買の際に発行する不動産売買契約書には、納税のための収入印紙を貼り付ける義務があります。この収入印紙にかかるお金のことを「印紙税」と呼びます。

印紙税は売主と買主の双方が、平等に負担するのが一般的です。そのため、売主と買主の双方が、自分が保管する契約書に対して印紙を貼り付け、その分の印紙税を負担することになります。

3-3.住宅ローンの一括返済手数料

住宅ローンの残債が残っているマンションを売却する場合、売却代金でローンを一括返済することになりますが、一括返済時に手数料が発生します。

具体的な金額は住宅ローンの種類や金融機関によって異なり、無料のところもあれば、数万円かかる場合もあります。

一括返済時に初めて手数料が発生することを知って慌てることがないように、事前に金融機関に確認して準備しておくことが重要です。

3-4.登記費用

住宅ローンを一括返済したのち、マンションに設定された抵当権を抹消するための「抵当権抹消登記」が必要です。

抵当権抹消登記に必要な費用は大きく分けて2種類あります。

登録免許税と呼ばれる費用は、抵当権抹消登記の際に必ず発生する費用で、不動産1件につき1,000円です。

さらに司法書士に登記の手続きを依頼する場合は、司法書士への報酬も必要になります。司法書士報酬はおよそ15,000円程度が相場です。

3-5.譲渡所得税

マンションを売却して利益が出た場合、売却の翌年に確定申告を行い、利益に応じた税金を納める必要があります。マンションの売却によって発生した利益のことを「譲渡所得」と呼び、納める税金のことを「譲渡所得税」と呼びます。

「譲渡所得税」は、譲渡所得に対して発生する所得税・住民税・復興特別所得税の3種類の税金をまとめた総称で、それぞれ異なる税率をかけて計算します。

確定申告が義務とされているのは、譲渡所得がプラスになった場合のみです。しかし、譲渡所得がマイナスであっても、取引価格などによっては特別控除が受けられたり、特例が適用されたりと、確定申告をしたほうがお得な場合もあります。

そのため、マンションの売却を行う場合は、譲渡所得がプラスになるかだけでなく、適用される特例などがないかも含めて確認しておくようにしましょう。

3-5-1.譲渡所得の計算式

譲渡所得税の計算をするためには、まず譲渡所得がいくらなのかを知る必要があります。

譲渡所得を求めるための計算式は、下記の通りです。

「譲渡所得=譲渡収入金額-(取得費+譲渡費用)」

「譲渡収入金額」「取得費」「譲渡費用」には、それぞれ下記のようなものが含まれます。

譲渡収入金額

マンションを売却した時の売却金額

取得費

マンションを購入した際にかかった費用

・購入代金

・購入時の税金(印紙税、登録免許税、不動産取得税など)

・仲介手数料

・設備費、改良費

・一定の借入金利子など

※減価償却費を差し引く

譲渡費用

マンションを売却する際にかかった費用

・仲介手数料

・印紙税

・登録免許税など

3-5-2.税額の計算方法

譲渡所得をもとに、譲渡所得税の税額を計算します。譲渡所得税を求める際には、下記の計算式を用います。

「譲渡所得税=課税譲渡所得×税率」

ここでいう「課税譲渡所得」というのは、上記で求めた譲渡所得から、特別控除額を差し引いた金額のことを言います。特別控除の種類や金額については、後に詳しく解説します。

税率計算のために用いられる税率は、下記の表のとおりです。マンションを購入してから売却までに5年以上所有したかどうかによって、異なる税率が用いられます。

所有期間

所得の種類

税率

5年以下

短期譲渡所得

所得税:30.63%*

住民税:9%

5年超

長期譲渡所得

所得税:15.315%*

住民税:5%

*復興特別所得税(所得税に対して2.1%)を含む

マンションを取得してから譲渡した年の1月1日において所有年数が5年以下の場合に発生する譲渡所得を「短期譲渡所得」、5年を超えている場合の譲渡所得を「長期譲渡所得」と呼びます。

3-6.仮住まいにかかる費用・引越し費用

マンションを売却して新しい住まいに引っ越す場合には、引越し費用がかかるということも念頭に置いておく必要があります。

売却するマンションから直接新居に引越す場合は、引越し費用は1回分のみで済みますが、仮住まいを挟む必要がある場合は、2回分の引越し費用が係ることになります。

時期や荷物の量によっては引越し費用も相当な金額になるうえ、仮住まいとしてマンスリーマンションなどを借りると、一般的な賃貸物件よりも割高になります。可能な限り仮住まいを利用しなくても済むように、物件の引渡し日と新居への入居のタイミングを合わせるようにしましょう。

3-7.その他の費用

その他にマンションの売却時にかかる可能性のある費用としては、リフォーム費用やハウスクリーニング費用などがあります。

マンションを売却する場合、基本的には室内のリフォームや修繕は必要ないものとされています。しかし、室内の使用状況や間取り、設備の劣化状況によっては、売却前にリフォームを行った方が売れやすくなることもあり、その場合の費用は売主が負担します。

また、購入検討者の内覧時は、室内を綺麗にしておいたほうが印象がよくなるため、必要に応じてハウスクリーニングを外注したほうがいい場合もあるということは押さえておきましょう。

4.マンション売却に適した時期

取得時に高い費用が必要になるマンションは、売却するときもできるだけ高く売りたいと考える人がほとんどです。マンションには売り時や、売りやすい時期はあるのでしょうか。

4-1.築年数

マンションを高く売るためには、築年数が経過しないうちに、早めに売却することが最も重要です。

不動産は新築から年数が経つにつれて、一定の早さで価値が下がっていくということを、ご存知の方も多いのではないでしょうか。物価や経済状況を見ながら「今よりも高く売れるはず」と、売却を先延ばしにする人もいますが、築年数が古くなるにつれて価値が下がるマンションを売るのであれば、「売ろう!」と思ったその時に行動することが肝心です。

ただし、マンションは戸建て住宅よりも法定耐用年数(国が定めた不動産の価値の維持年数)が長いため、価格の下落のスピードはさほど早くないということは知っておきましょう。

4-2.年間で売りやすい時期

1年のうちでも、新生活がスタートする2〜3月は、特にマンションを売りやすい時期だとされています。

賃貸マンションやアパートを取り扱う不動産会社の繁忙期が、2〜3月ということをご存知の方も多いでしょう。マンション売買においても同様で、転職や異動などにより引越しを考える人が多いこの時期は、マンションを売りたい人・買いたい人が共に多い時期なのです。

4-3.経済動向と住宅市場

マンションの売却を検討している方の中には、中古マンションの価格がどのように変動するのか、経済動向に売却のタイミングも合わせた方がいいのではないか、と考える方もいるかもしれません。

中古マンションの価格は、新築マンションの価格と連動しており、さらに新築マンションの価格は、日本経済の動きと密接に関連しています。

2022年9月20日の国土交通省の発表によると、全用途における基準地価の全国平均は前年に対して0.3%上昇し、3年ぶりにプラスに転じました。住宅地においては、1991年以来31年ぶりに上昇した結果となっています。

また、国土交通省で毎月公表している「不動産価格指数」でも、中古マンションの取引が活発に行われていることが見て取れます。

不動産価格指数は、不動産取引の動向を「住宅」と「商業用不動産」それぞれにおいて数値化し、2010年の平均値を基準として表したものです。

不動産価格指数によると、マンションの価格は2012年ごろまではおおむね横ばいですが、2013年以降は上昇の一途をたどっていることがわかります。

さらに2022年第1四半期においては、基準とされている2010年の100に対して182.6となっており、12年間で1.8倍規模の取引が行われている計算です。

こうしたデータから、今後も中古マンションの取引は活発に行われることが予想されます。

出典:国土交通省 プレスリリース

4-4.税金の優遇期間

不動産を売却する際、さまざまな税金の優遇を受けられる場合があります。税金の特別控除や特例には、適用される期間が限定されているものもあるため、あらかじめ知っておきましょう。

4-4-1.所有期間の差異と譲渡所得税

マンションを売却した際の譲渡所得税の計算には、所有期間に応じた税率が適用されるということは、既に解説した通りです。

通常は物件を取得してから譲渡した年の1月1日において所有年数が5年以下の場合は「短期譲渡所得」、5年を超えている場合は「長期譲渡所得」と、2つに分けて計算されますが、ここにはさらに「10年超所得軽減税率の特例」というものが存在します。

「10年超所有軽減税率の特例」は、マンションなどのマイホームを売却した際に発生した譲渡益が6,000万円までの場合に適用され、税率が下記の表のとおり軽減されます。

 

6,000万円以下の部分

6,000万円超の部分

所得税

10.21%*

15.315%*

住民税

4%

5%

合計

14.21%

20.315%

*復興特別所得税率を含む

なお、この軽減税率の適用のためにはいくつかの条件があるため、譲渡益が6,000万円以上になる見込みがある場合は、事前に確認しておくことをおすすめします。

4-4-2.3,000万円特別控除適用の期間

マンション売却時に発生する譲渡所得を安く抑えるための制度としては、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」というものもあります。

この特別控除を利用することで、マンションを売却した際に得られた譲渡所得のうち、最大3,000万円までを課税対象から除外できます。つまり、マンションを売却して3,000万円の売却益が発生した場合でも、特別控除が適用されることになり、「譲渡所得0円=譲渡所得税0円」にすることが可能になるのです。

ただし、3,000万円の特別控除が適用されるのはマイホームを売却する場合に限定されます。そのため、居住しなくなったマンションを売却する場合は、居住しなくなった日から3年が経過した年の12月31日までに、売却する必要があるという点には注意が必要です。

4-4-3.相続後の譲渡所得税の優遇期間

相続したマンションを売却する場合、相続税の一部を取得費に加算できるという特例が存在します。これを「相続税の取得費加算」と呼びます。

不動産を売却して利益(譲渡所得)が出ると、譲渡所得税という税金を納めなくてはなりません。税額計算に必要な譲渡所得を算出する際、通常は収入金額(マンションの売却代金・固定資産税当精算金の合計額)から、取得費・譲渡費用を控除します。この計算の際に「相続税の取得費加算」の特例が適用されることにより、取得費に相続税の一部を上乗せでき、譲渡所得を少なくすることが可能になるのです。

ただし、この特例の適用を受けるためには、マンションの相続開始から3年10ヶ月以内に売却する必要があるという点には注意が必要です。

5.マンション売却を成功させる不動産仲介会社の選び方

納得のいく条件でマンションを売却するには、仲介を依頼する不動産仲介会社の選び方も非常に重要です。不動産仲介会社の力量次第で、売却価格が大きく変わることも少なくないため、慎重に選ぶようにしましょう。

5-1.査定は必ず複数社に依頼する

仲介を依頼する不動産仲介会社を選ぶ際、必ず複数社に査定依頼を出すようにしましょう。その理由は、査定する不動産仲介会社によって査定額が異なるためです。

同じマンション売買を行っている不動産仲介会社でも、営業スキルや広告に対してかける費用、得意とするエリアなどはさまざまです。マンションの査定基準には、法律で定められた明確な決まりもないため、不動産仲介会社によって異なる査定額を提示されます。

査定額によっては最終的な売却金額が数百万円違うこともあるため、マンション売却のスタートである査定をいかに正確に行うかが肝心なのです。

こうした理由からも、最初のうちは複数の不動産仲介会社に査定依頼を出し、受け取った査定結果をもとにして、どの不動産仲介会社に依頼するかを比較することが大切です。

1社ずつ個別に査定依頼をしてもいいですが、近年では不動産一括査定サイトというサービスもあります。一度マンションの情報を入力するだけで、一度に複数の不動産会社に査定依頼を出せて便利なため、積極的に活用することをおすすめします。

5-2.高すぎる査定額を出す会社に注意

「できるだけ高く売りたい」という気持ちから、査定額が一番高い不動産会社に仲介を依頼したいと考えるのは自然なことですが、あまりにも高すぎる査定額を出す会社がある場合は注意が必要です。

不動産仲介会社が依頼主から報酬を得られるのは、マンションの売却が決まり、無事に引渡しまで完了した場合です。そして仲介手数料を得るためには、できるだけ多くのマンション所有者から、マンション売却の依頼を受ける必要があります。

不動産仲介会社の中には、高い査定額を提示することで売主から気に入ってもらい、専任媒介契約・専属専任媒介契約の締結を狙おうとする会社も存在します。

相場からかけ離れて高い価格で売りに出してしまうと、いつまでたってもマンションが売れないということになりかねません。

複数の査定結果のうち、価格の高さが目につく査定結果があった場合は、必ず不動産仲介会社の担当者に根拠を聞き、納得のできる理由を説明してもらえる時のみ依頼するようにしましょう。

5-3.マンション販売実績が豊富

マンションの売却をスムーズかつ納得のいく形で行うためには、マンションの販売実績が豊富な不動産仲介会社を探してみましょう。

不動産売買にはマンションの他にも、土地や戸建て、事業用物件などの種類があり、それぞれ異なるノウハウで集客や販売を行っています。

そのため、マンションを売却する場合には、マンション売買を専門にしている不動産仲介会社を選ぶことで、高く売却するためのアドバイスを受けられたり、購入検討者の背中を押すような営業活動をしてもらえる可能性が高いと言えるのです。

そしてマンションの販売実績の数は、その不動産仲介会社が信頼できる会社であることの証拠になります。販売実績の数を知るためには、会社のホームページを確認するか、直接営業担当者に聞いてみるといいでしょう。

5-4.担当者が信頼できるか見極める

マンション販売実績が豊富な会社や、全国的な知名度が高い会社であったとしても、担当者が信頼できなくては、満足のいく条件でマンションを売却できない可能性があります。

信頼のできる担当者かどうかを見極めるには、下記のポイントをチェックするといいでしょう。

  • 電話やメールへのレスポンスは早いか
  • 売主の希望や質問をきちんと聞いて理解しているか
  • 親身になってアドバイスをできるか
  • 宅地建物取引士の資格を持っているか

不動産仲介会社の担当者のなかには、自分の営業ノルマを達成するために、売主の希望を十分に反映せずに取引を進めてしまう人もいます。そのような担当者に任せてしまっては、終始不安な状態で売却を進めなくてはならず、結果的に取引への満足度は低くなってしまいます。

そのため、担当者が売主の希望や不安をしっかり聞けるかどうか、問い合わせに対するレスポンスは早いかどうかなどを、慎重に見極めるようにしましょう。

宅地建物取引士の資格に関しては、営業担当者は必ずしも保有しなくてはならないものではありません。しかし、資格があるのとないのとでは、不動産に関する知識量に大きな違いがある可能性が高いということは覚えておきましょう。

6.まとめ

マンションの売却には多くの手順が必要なだけでなく、売主側にも多くの費用が発生します。そのため、できるかぎり高く売却できる、販売力の高い不動産仲介会社に出会うことが大切です。不動産仲介会社の販売力を見極めるためには、複数の不動産仲介会社を比較する必要があります。

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