不動産売却では多くの書類が必要になるため、あらかじめ把握しておくとスムーズです。この記事では、必要書類の種類や内容、準備をするタイミングについて解説します。
- 1 不動産売却する際の11個の必要書類
- 1.1 必要書類①登記簿謄本または登記事項証明書
- 1.2 必要書類②売買契約締結前に説明される重要事項説明書
- 1.3 必要書類➂物件の情報が記載されている売買契約書
- 1.4 必要書類④登記済権利書または登記識別情報
- 1.5 必要書類⑤土地の面積が分かる土地測量図・境界確認書
- 1.6 必要書類⑥固定資産税納税通知書または固定資産評価証明書
- 1.7 必要書類⑦売却不動産の間取り図などの図面や設備の仕様書
- 1.8 必要書類⑧建築確認済証または検査済証
- 1.9 必要書類⑨建築設計図書または工事記録書
- 1.10 必要書類⑩マンションの管理規約
- 1.11 必要書類⑪耐震診断報告書またはアスベスト使用調査報告書
- 2 不動産売却する際の必要書類チェックリスト
- 3 買主に物件を引き渡しする際の6つの必要書類
- 4 不動産売却する際の必要書類の準備タイミング
- 5 不動産売却での必要書類はあらかじめの準備を!
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不動産売却する際の11個の必要書類

不動産売却では多くの書類が必要となりますが、主なものとして11種類が挙げられます。それぞれの書類についてまとめると、以下のとおりです。
書類の種類 | ポイント |
---|---|
登記簿謄本、登記事項証明書 | 不動産の登記事項が記載された書類であり、法務局で取得できる |
重要事項説明書 | 不動産の内容や取引条件、告知事項等の重要事項が記載された書類 |
売買契約書 | 売買契約を結ぶときに、売主買主との間で取り決めたことを示す書類 |
登記済権利書(登記識別情報) | 不動産の所有者に対して発行される書類 |
土地測量図・境界確認書 | 土地の面積や隣接地との境界を示す書類 |
固定資産税納税通知書、固定資産評価証明書 | 自治体から送られてくる固定資産税額や評価額を示す書類 |
間取り図、設備の仕様書 | 物件の間取りや設備について示す書類 |
建築確認済証(検査済証) | 建築基準法に沿って建物が建てられていることを証明する書類。戸建ての売却時に必要 |
建築設計図書、工事記録書 | 物件の設計や工事記録を示す書類 |
管理規約 | マンションの維持管理や居住するうえでの約束事項が記載されているルールブック |
耐震診断報告書、アスベスト使用調査報告書 | 住宅の耐震性やアスベスト使用の有無を確認するための書類 |
各書類のポイントとなる部分について、さらに詳しく解説します。
必要書類①登記簿謄本または登記事項証明書
登記簿謄本は不動産を管轄する法務局で取得できるものであり、登記簿の写しのことを指します。土地や建物の所在地や権利関係が分かる書類であり、不動産の登記事項の詳細が記載されている書類です。
登記事項証明書は、登記事務をコンピューターによって処理している登記所で発行される書類です。登記簿謄本の記載内容と同じですが現在では、ほとんどの場面で登記事項証明書が用いられています。
必要書類②売買契約締結前に説明される重要事項説明書
重要事項説明書は、物件の買主を守る目的でさまざまな情報を記載した書類のことであり、宅地建物取引士が説明してくれるものです。物件の内容や取引条件、告知事項など売買契約を結ぶにあたって必要とされる重要な項目が記載されています。
具体的に記載されている項目としては、以下のものが挙げられます。
- ガスや電気の供給状況
- 土地の周辺に産業廃棄物処分場や下水処理場などの嫌悪施設がないか
- 私道の負担について
- 損害賠償や違約金 など
売買契約締結にあたっては必ず重要事項説明書に書かれてある内容を確認しておきましょう。
必要書類➂物件の情報が記載されている売買契約書
物件を売却するにあたって買主と交わす売買契約書では、契約した日付や引き渡し日、取引金額や特約の有無などが確認できます。
売買契約書は譲渡所得税(所得税・復興特別所得税・住民税)の計算で必要になるため、きちんと保管をしておくことが大切です。不動産を売却したときに売却益が発生した場合、譲渡所得税を納める必要が出てきます。
譲渡所得税は売却益にそのまま課税されるものではなく、物件を取得したときにかかった費用(取得費)や売却のためにかかった費用(譲渡費用)を差し引いた金額に課税されるものです。
また、どのような取引条件で契約を行ったかは、後からトラブルが起こったときの根拠にもなるため、内容に問題がないかを入念にチェックしておきましょう。
必要書類④登記済権利書または登記識別情報
登記済権利書や登記識別情報は、登記名義人を証明するものであり、法務局が交付します。
また、法改正に伴って2005(平成17)年以降に取得した不動産については、登記識別情報のみが通知される仕組みとなりました。登記済権利書と登記識別情報は基本的に同じ内容であり、何か違いがあるわけではありません。
一度しか発行されないものであるため、紛失をしてしまったときは「事前通知制度」などを利用して、不動産の売却手続きに支障が出ないようにしましょう。事前通知制度とは、登記名義人自身の意思で申請が行われたかを法務局の登記官が確認をしたうえで、登記手続きを進める仕組みです。
登記手続きに間違いがあると、不動産の売却に支障が出てしまうことがあるため、司法書士に依頼をしたほうがスムーズに手続きを進められるでしょう。
必要書類⑤土地の面積が分かる土地測量図・境界確認書
不動産の売却を進める際に、土地の面積や境界が曖昧なままだと売却後にトラブルを招く恐れがあります。土地測量図や境界確認書がきちんとあれば、隣接地の住民とのトラブルを避けられるはずです。
土地測量図や境界確認書は、不動産を購入したときに以前の売主から受け取っているものですが、手元にない場合は測量を行った会社などに問い合わせてみましょう。また、土地の面積や境界が曖昧な場合は、新たに測量を行って隣接地の所有者と話し合う必要があるため、土地家屋調査士などに依頼をする必要があります。
必要書類⑥固定資産税納税通知書または固定資産評価証明書
毎年1月1日時点で不動産を所有している人に対して、固定資産税や都市計画税が課されます。自治体から送られてくる固定資産税通知書から、納税額を把握することができます。
手元に書類がない場合は、自治体の窓口で固定資産評価証明書を取得しましょう。納税額は具体的に記載されてはいませんが、固定資産評価証明書に記載されている課税標準額から税額の計算が行えます。
不動産取引においては物件の引き渡し日を基準日として、その年の固定資産税や都市計画税を売主と買主で精算するケースがほとんどです。最新の書類を用意しておきましょう。
必要書類⑦売却不動産の間取り図などの図面や設備の仕様書
建物の間取り図や住宅設備に関する仕様書などがあれば、物件の状況を詳しくチェックできます。不動産の売却活動を進めるときも、間取り図などがあったほうが購入希望者を募りやすくなるため、早めの売却に結びつけやすくなるでしょう。
仕様書には設備の品番や材質などが記載されているのが一般的であり、リフォームやリノベーションを行ったときのアピールポイントになるはずです。買主の立場に立って、できるだけ詳細な情報を提供できるようにしましょう。
必要書類⑧建築確認済証または検査済証
建築基準法に沿って建物が建てられているかを示す書類が、建築確認済証または検査済証です。戸建ての物件を売却する際に必要なものであり、現地で行われる検査によって基準を満たしていれば発行されます。
設計工事がどのように行われたかを証明する書類であり、売主・買主の双方にとって重要なものとなります。建築確認済証や検査済証などがなければ、住宅ローンの借入などに影響が出てくるため、手元にあるかを確認しておきましょう。
仮に紛失した場合は、建築計画概要書もしくは建築確認台帳記載事項証明書を自治体の窓口で発行してもらう必要があります。発行までに時間がかかる可能性もあるため、早めに確認を行っておくことが大事です。
必要書類⑨建築設計図書または工事記録書
建築設計図書というのは、物件がどのように設計されているのかを示す書類であり、工事記録書は工事を実施した記録を表すものです。設計や工事についての情報が不明確であれば、リフォームを行うときなど支障が出るため注意しておきましょう。
床の構造や、耐震性を判断するために欠かせない書類でもあるため、不動産の売却時には重要な書類となります。手元にない場合は、施工会社に問い合わせを行って取り寄せることが必要です。
必要書類⑩マンションの管理規約
マンションを売却する際に必要となる書類であり、物件がどのようなルールで維持管理されてきたかを示すものです。管理費や修繕積立金といった毎月のランニングコストをチェックしたり、ペットの飼育が可能であるかを確認したりするために必要な書類であるため、売買契約を締結する前に書類を揃えておくと契約をスムーズに行うことができます。
ただし、手元に書類がなくても不動産会社が入手してくれます。担当者とコミュニケーションを取って、早めに手配をしておきましょう。
必要書類⑪耐震診断報告書またはアスベスト使用調査報告書
建物については、建築基準法によって耐震基準が定められており、住宅の安全性については買主も関心が高い項目です。新耐震基準導入前の1981(昭和56)年以前に建てられた物件の場合、耐震診断報告書やアスベスト使用調査報告書の提出を求められることがあるため注意しておきましょう。売買契約を結ぶ前に必要な調査を行って、書類を準備しておくとスムーズです。
不動産売却する際の必要書類チェックリスト
書類の種類 | 必要になるタイミング | 書類が必要な物件の種別 | 書類の重要度 |
---|---|---|---|
登記簿謄本、登記事項証明書 | 媒介契約の締結時 | 戸建て・マンション・土地 | 必須 |
重要事項説明書 | 売買契約の締結前 | 戸建て・マンション・土地 | 必須 |
売買契約書 | 売買契約の締結時 | 戸建て・マンション・土地 | 必須 |
登記済権利書(登記識別情報) | 引き渡し時 | 戸建て・マンション・土地 | 必須 |
土地測量図・境界確認書 | 媒介契約時の締結時から引き渡し時まで | 戸建て・土地 | 必須 |
固定資産税納税通知書、固定資産評価証明書 | 売却活動中 | 戸建て・マンション・土地 | 必須 |
間取り図、設備の仕様書 | 媒介契約の締結時 | 戸建て・マンション | 必須 |
建築確認済証(検査済証) | 媒介契約の締結時 | 戸建て・マンション | 必須 |
建築設計図書、工事記録書 | 媒介契約の締結時 | 戸建て・マンション | 任意 ※あると良い |
管理規約 | 売却活動中 | マンション | 必須 |
耐震診断報告書、アスベスト使用調査報告書 | 媒介契約の締結時 | 戸建て・マンション | 任意 ※あると良い |
どの書類がいつ必要になるかは、不動産会社の担当者がきちんと教えてくれるため心配いりません。上記の書類は不動産の売却完了までにどこかのタイミングで必要になるため、早めに準備を整えておきましょう。
買主に物件を引き渡しする際の6つの必要書類

買主に物件を引き渡すときにも必要な書類があり、書類に不備があると引き渡しが行えない可能性があるため注意しましょう。引き渡し時に必要となる書類としては、以下のものが挙げられます。
書類の種類 | ポイント |
---|---|
顔写真付きの本人確認書類 | 売主本人であることを確認するための書類 |
印鑑証明書、実印 | 名義人が複数いる場合は全員分 |
住民票 | 売主の現住所と登記上の住所が異なる場合 |
通帳 | 振込先が分かるもの |
ローン残高証明書、ローン返済予定表 | 金融機関から送られてくるもの |
物件のパンフレット | 物件を購入したときのパンフレット |
各書類について、さらに詳しくみていきましょう。
必要書類①顔写真付きの本人確認書類
物件を引き渡す際は、売主本人であるかどうかの確認が必要になります。家族や親族で共同名義人がいる場合は、共有者全員分の本人確認書類が必要です。
相続によって引き継いだ物件を売却するときは、本人確認書類を集めるだけでも時間がかかってしまうため、早めに準備に取りかかるようにしましょう。
本人確認書類として有効なものは、運転免許証やパスポート、マイナンバーカードなどが挙げられます。顔写真付きの公的な書類を用意しましょう。
必要書類②印鑑証明書
印鑑証明書は実印が有効なものであるかを確認するための書類ですが、有効期限が3ヶ月以内と定められているため取得時期に注意が必要です。印鑑登録を済ませておけば、自治体の窓口ですぐに取得できるため、物件を引き渡すタイミングにあわせて取得しておきましょう。
また、自治体によってはコンビニなどで取得できる可能性もあるため活用してみてください。本人確認書類と同様に、名義人全員分のものが必要になるため関係者には早めに連絡をしておくことが大事です。
必要書類➂住民票
住民票が必要になるのは、登記上の住所と現住所が異なる場合です。所有権移転登記を行う際に必要なため、不動産会社の担当者の指示に従って取得しておきましょう。
印鑑証明書と同様に、発行されてから3ヶ月以内のものが有効なため、引き渡しのタイミングを見計らって自治体の窓口などで取得します。コンビニで取得をするときは、マイナンバーカードが必要になるため、あらかじめ用意をしておくことが大事です。
必要書類④振込先が分かる銀行口座の通帳
不動産を売却したときの代金は、手付金を除いた残りを引き渡し時に受け取ることになります。しかし、まとまった金額の受け渡しとなるため、通常の場合は手渡しというわけではありません。
銀行振込で処理を行うケースが多いため、物件の買主に売主の銀行口座番号などを知らせておく必要があります。支店名や口座番号などが分かるように、通帳を用意しておきましょう。
必要書類⑤ローン残高証明書またはローン返済予定表
物件を引き渡す際は抵当権を抹消する必要がありますが、その前提として住宅ローンを完済する必要があります。住宅ローンの完済は売却代金の残金を受け取ったタイミングでかまいませんが、きちんと完済できるのかを事前に明らかにしておくことが大切です。
仮に売却代金で完済できないときは、自己資金で補てんするなどして、物件の引き渡しについて問題がないことを買主に伝えておきましょう。
必要書類⑥不動産物件のパンフレット
不動産を購入したときのパンフレットがあるなら、買主にとってプラスの情報となります。手元にない場合は、物件を購入したときの不動産会社に問い合わせるなどして、準備をしておくと良いでしょう。
不動産売却する際の必要書類の準備タイミング

不動産の売却に必要な書類は、準備をするタイミングがそれぞれ異なります。すべての書類を早めに用意すればいいというわけではないため、注意が必要です。
売却を考える際に準備しておきたい書類と、不動産会社と契約をするまでに用意しておきたい書類に分けて解説します。
タイミング①売却を考えているときに準備したい必要書類
不動産の売却を考えるときに準備しておきたい書類としては、次のものが挙げられます。
- 登記済権利書または登記識別情報
- 物件の間取り図や設備の仕様書
- 土地測量図、境界確認書
- 固定資産税納税通知書 など
上記に挙げた書類を用意しておくほうが、不動産会社が行う査定もより精度の高いものになるでしょう。必要な書類を準備したら、複数の不動産会社に査定依頼を行って、媒介契約を結ぶ会社を選んでみてください。
タイミング②不動産会社と契約するまでに準備したい必要書類
不動産会社と媒介契約を結ぶときに必要な書類は、物件購入時の売買契約書や重要事項説明書など、さまざまな書類が必要になります。不動産会社によっては媒介契約を結ぶ段階では、すべての書類を揃える必要はないため、担当者とコミュニケーションを取りながら用意しましょう。
不動産売却での必要書類はあらかじめの準備を!
不動産の売却をスムーズに進めるには、必要な書類を適切なタイミングで用意することが大切です。物件の査定時・媒介契約の締結時・売買契約の締結時・引き渡し時で、それぞれ必要な書類は異なるため、不動産会社の担当者とコミュニケーションを取りながら準備しましょう。
書類に不備があったり、有効期限が切れていたりすれば物件の引き渡しそのものができなくなる恐れがあるため注意が必要です。気になることは何でも担当者に尋ねるようにして、しっかりと準備してください。
Q.不動産売却で必要になる書類についてよく分かりません。教えてください!
A.不動産売却で必要になる書類は、全部で11個あります。たとえば、「登記簿謄本」「売買契約書」「重要事項証明書」等が不動産売却で必要になる書類として挙げられます。また、買主に不動産物件を引き渡しする際にも書類が必要になるため、本記事を参考にし、あらかじめ準備しておきましょう。
Q.不動産売却で必要になる書類の準備タイミングっていつですか?
A.不動産売却で必要になる書類の準備タイミングは大きく分けて2つです。不動産売却を考えているときか不動産会社と媒介契約を結ぶ前に書類の準備が必要になります。
たとえば、不動産売却を考えているときは、物件の正しい情報を伝えなくてはならないため、物件の図面や仕様書等が必要になります。タイミングごとに書類の準備は異なるため、本記事でチェックしておきましょう。
Q.必要書類を揃えたけど、不動産を高く売却する方法が分かりません。教えてください!
A.不動産を高く売却したい場合は、不動産一括査定サイトを利用することがおすすめです。
不動産一括サイトでは、不動産価格の相場を知ることができます。損をしない売却価格を提案できます。
おすすめの不動産一括サイトは、「おうちクラベル」です。一括査定申し込みの後、AIによる高精度な査定価格をその場で確認できるため、いますぐ行動したい方はぜひおすすめします。