不動産売買の費用で大きな割合を占めるのが「仲介手数料」です。仲介手数料の計算方法や不動産会社にとっての意味合いなどを理解しておかないと、損をする可能性があります。
しかし「仲介手数料って具体的にいくらかかるの?」「いつまでにお金を用意しておかないといけないの?」と不安な人も多いでしょう。本記事では、仲介手数料の上限額や支払いタイミングなどを網羅的に解説します。
仲介手数料はもちろん不動産売買を成功させるための重要ポイントも理解できる内容なので、最後まで読み進めてみてください。
- 1 1.不動産売買の仲介手数料とは?
- 2 2.不動産売買の仲介手数料の相場とは?
- 3 3.不動産売買の仲介手数料の計算方法・計算例を紹介
- 4 4.仲介手数料の上限早見表【消費税10%】
- 5 5.不動産売買の仲介手数料は安くできる?
- 6 6.不動産売買で仲介手数料の値引き交渉をする方法
- 7 7.不動産売買で仲介手数料が必要ないケース
- 8 8.不動産売買の仲介手数料で注意すべきポイント
- 9 9.仲介手数料以外に必要な不動産売買の手数料・税金
- 10 10.不動産売却の媒介契約の種類
- 11 11.不動産売買で苦労しないためのポイント
- 12 12.不動産売買の仲介手数料は上限と性質を把握しておこう
- 13 この記事の監修者
1.不動産売買の仲介手数料とは?
不動産売買の仲介手数料とは、不動産仲介会社へ支払う成功報酬のことです。不動産売買を仲介に依頼した場合には、基本的には支払います。
仲介手数料には支払うタイミングや支払う方法などルールがあるため、売買をスムーズに行うためにもしっかり確認しておきましょう。
1-1.仲介手数料とは売主・買主の両方が不動産会社へ支払う成功報酬
仲介手数料とは、売買契約の締結と物件の引き渡しが完了した際に、仲介会社に支払う成功報酬のことです。売却と購入に関わらず、仲介会社に依頼した場合には仲介手数料が発生します。
仲介手数料は、売買が無事成立した際に支払うため、不動産会社と媒介契約を締結しただけでは仲介手数料を支払う必要はありません。
また、契約無効になったり取り消しになったりした際も、不動産会社は仲介手数料を請求できません。
1-2.仲介手数料が発生するのは仲介(媒介)のみ
不動産の取引形態には、売主・販売代理・仲介の3つがあります。
中古マンションや一戸建て、土地を個人間で取引する際は、売主と買主との間に不動産会社が入る「仲介」という取引形態が一般的です。
売主は、直接買主を見つけて販売する取引形態を指します。不動産会社に仲介してもらわない個人間売買も可能ですが、宅地建物取引士の資格を保有していないと重要事項説明書の作成と説明ができないため、大きなリスクを伴います。
そのため、不動産売買では個人間で取引するのではなく、不動産会社に仲介を依頼するケースが一般的です。
また、不動産会社が直接販売する場合もありますが、仲介手数料の支払いは状況によって異なります。不動産会社が新築マンションを販売する場合のみ、売主もしくは販売代理となり仲介手数料が必要ありません。
1-3.仲介手数料を支払うタイミングは2回
仲介手数料の支払いは「売買契約締結時」と「引き渡し時」の2回に分けて、半金ずつ支払います。
具体的な仲介手数料の支払いタイミングは、以下のとおりです。
【売却時の流れ】
- 売却相場を調べる
- 不動産を査定してもらう
- 依頼する不動産会社を決める
- 媒介契約を締結する
- 売り出し価格を決定する
- 売却活動を開始する
- 買主が見つかったら売買契約を結ぶ→このときに仲介手数料の半金を支払う
- 決済と物件の引き渡し→このときに仲介手数料の残金を支払う
【購入時の流れ】
- 不動産ポータルサイトを活用して物件を探す
- 不動産会社に話を聞く
- 気になる物件の内見を行う
- 購入物件を決める
- 仲介会社と媒介契約を締結する
- 買付申込書を提出する
- 売主と売買契約を締結する→このときに仲介手数料の半金を支払う
- 決済と物件の受け渡し→このときに仲介手数料の残金を支払う
仲介手数料の支払い方に決まりはありません。一括でも支払えますが、売買契約後にも多くの費用が必要なため、売買契約時と引き渡し時の2回に分割したほうが安心です。
1-4.支払いは現金払いが基本
仲介手数料は、住宅ローンに組み込めないのが一般的です。
振り込み対応が可能な場合もありますが、売買契約時と引き渡し時のどちらも現金で支払うのが通常です。念の為、媒介契約の締結時に仲介手数料の支払い方法を確認することをおすすめします。
売買契約は土曜日・日曜日・祝日に行われる場合も多く、当日ではお金が下ろせない可能性もあります。また、ATMの引き出し限度額などを事前に確認しておき、当日慌てないように前もって準備しておきましょう。
2.不動産売買の仲介手数料の相場とは?
仲介手数料は成約金額をもとに計算するため、一概に「相場はいくらです」と金額を提示できません。
仲介手数料は専用の計算式を用いて算出するため、計算方法と上限金額を詳しく解説します。
2-1.仲介手数料の相場・法律での上限
仲介手数料は、宅地建物業法第四十六条によって上限額を決められています。そのため、決められた計算式で算出した上限金額を、成功報酬として求められます。
仲介手数料の上限額は以下のとおりです。
売買金額 | 仲介手数料の上限額 |
200万円以下の部分 | (売買金額×5%)+消費税 |
200万円超え400万円以下の部分 | (売買金額×4%)+消費税 |
400万円超えの部分 | (売買金額×3%)+消費税 |
物件の売買価格を3分割で計算し、仲介手数料を算出します。例えば、売買価格1,000万円を上記の計算式に当てはめてみます。
- 200万円以下の部分=200万円×5%=10万円+消費税
- 200万円超え400万円以下の部分=200万円×4%=8万円+消費税
- 400万円超えの部分=600万円×3%=18万円+消費税
1〜3の計算を合計すると36万円+消費税となります。
計算式を把握しておくと、求められる仲介手数料が妥当な金額なのか確認できます。
また、上限金額を超えた仲介手数料を求められても支払う必要はありません。一般的な仲介業務では、追加費用を請求してはいけないという決まりがあるからです。
2-2.2018年の法令改正で400万円以下の上限が変更
2018年の法令改正では、売買価格が400万円以下の土地または建物を売却する場合に請求できる仲介手数料の上限が変更されました。
価格が400万円以下の物件は、低廉な空家等の売買取引の特例に該当し、仲介手数料の上限金額が18万円+消費税となります。
例えば200万円の物件を売却する場合に、法令改正前は売買価格200万円×5%で10万円+消費税でしたが、法令改正によって上限額が緩和されました。
その背景には、日本中で増加している空き家問題があります。
長期で放置されている空き家はたとえ売れたとしても売買価格が低く、調査にかける手間と費用負担が大きいという理由から法改正がなされました。この特例が適用されるのは売却時のみです。
3.不動産売買の仲介手数料の計算方法・計算例を紹介
前項で紹介した、仲介手数料の上限額を算出する計算式は手間がかかります。そこでより簡単に仲介手数料を算出できる、速算式を解説します。
【仲介手数料の速算式】
売買金額 | 仲介手数料の計算式 |
200万円以下 | (売買金額×5%)+消費税 |
200万円超え400万円以下 | (売買金額×4%+2万円)+消費税 |
400万円超え | (売買金額×3%+6万円)+消費税 |
どちらの計算式を使用しても算出する上限額は同じなので、速算式を活用すると簡単に計算可能です。
金額5,000万円の物件を売買したとして、法令上の計算式と速算式それぞれで計算してみます。
【法令上の計算式の場合】
- 200万円以下の部分=200万円×5%=10万円+消費税
- 200万円超え400万円以下の部分=200万円×4%=8万円+消費税
- 400万円超えの部分=4600万円×3%=138万円+消費税
1〜3の合計額は、156万円+消費税です。
【速算式の場合】
売買金額が5,000万円のため、速算式の「400万円超え」に該当します。
(5,000万円×3%+6万円)=156万円+消費税
以上の計算から、法令上の計算式と速算式のどちらを使っても、156万円+消費税になることがわかります。
4.仲介手数料の上限早見表【消費税10%】
仲介手数料の上限額をまとめましたので、売買時の目安にしてみてください。
売買価格 | 仲介手数料の上限額 | 仲介手数料の上限額(消費税10%含む) |
300万円 | 売却時:18万円 購入時:14万円 | 売却時:19万8千円 購入時:15万4千円 |
600万円 | 24万円 | 26万4千円 |
1,000万円 | 36万円 | 39万6千円 |
2,000万円 | 66万円 | 72万6千円 |
3,000万円 | 96万円 | 105万6千円 |
4,000万円 | 126万円 | 138万6千円 |
5,000万円 | 156万円 | 171万6千円 |
6,000万円 | 186万円 | 204万6千円 |
7,000万円 | 216万円 | 237万6千円 |
8,000万円 | 246万円 | 270万6千円 |
9,000万円 | 276万円 | 303万6千円 |
1億円 | 306万円 | 336万6千円 |
※売買価格には消費税を含んでおりません。
※売買価格300万円だけが売却時と購入時で異なるのは「400万円以下の低廉な空家等の売却時の特例」が適応されているためです。
5.不動産売買の仲介手数料は安くできる?
ここまで仲介手数料の計算式を解説してきましたが、「正直高いから値引きできるならしたい」と思っている方もいるのではないでしょうか。
仲介手数料の値引き交渉は可能です。しかし、交渉のタイミングや仲介手数料の種類によって値引き交渉の難易度が変わるので詳しく解説します。
5-1.仲介手数料の値引き交渉は可能だがおすすめできない
仲介手数料はあくまでも上限が設定されているだけなので、値引き交渉は可能です。
ただし、仲介手数料は不動産会社にとっての利益になるため、値引き交渉にあまりいい顔をしないでしょう。
そして極端な値引きは、仲介会社の販売活動にかけられるコスト削減につながるので、買主が見つかりにくくなる可能性があります。
このように、値引き交渉は可能ですが、それによるリスクを考慮する必要があります。
仲介手数料の値引き交渉はせず、買主であれば不動産価格の値引き交渉、売主であれば希望価格での売却を不動産会社と目指すのがおすすめです。
5-2.値引き交渉は媒介契約を結ぶ前に行う
値引き交渉をしてなるべく手数料を少なくしたいと考えるのであれば、媒介契約前に交渉すると成功確率が高くなります。
なぜなら、そもそも媒介契約が取れなければ不動産会社は利益を上げられないからです。たとえ値引き交渉を受けても、仲介を任せて欲しいと考える会社であれば前向きに検討してもらえるでしょう。
一方で媒介契約後には広告費等をかけて販売活動を行うので、値引き交渉は現実的ではありません。
契約前に仲介手数料含めた必要な費用を把握したうえで、値引きが必要であれば早めに交渉するようにしましょう。
5-3.片手仲介・両手仲介により交渉の難易度が変わる
不動産会社の仲介手数料には、片手仲介と両手仲介があります。
片手仲介とは、売主と買主で別々の不動産会社に仲介を依頼することです。両手仲介とは、売主と買主の仲介を1社が担うことです。
両手仲介であれば、買主と売主の両方から仲介手数料を請求できるため値引き交渉がしやすいです。しかし、片手仲介の場合は一方からしか仲介手数料をもらえないので、値引きの難易度が高くなります。
値引きのしやすさで考えると両手仲介のほうが有利に感じますが、問題点もありトラブルに発展するリスクがあるので注意が必要です。
5-4.両手仲介にはリスクもある
不動産売買に慣れていない人からすると、両手仲介と片手仲介はどちらでも問題ないように感じますが両手仲介にはリスクもあります。
リスクとは、不動産会社が売主のために売却活動を行うのではなく、会社の利益確保を目的とした「囲い込み」といった行為です。
通常、専任媒介契約や専属専任媒介契約を締結すると、不動産情報サイトである「レインズ」へ登録します。
「レインズ」に登録すると多くの不動産会社に情報開示でき、売却の可能性を高められます。しかし、問題なのは「レインズ」に登録しなかったり、登録しても「契約済み」などと表示したりして、自社の利益しか考えない行為です。
1社でしか情報を流せないので、売主は売却チャンスを逃してしまいます。
そもそも、売買において「売主はなるべく高く売りたい・買主はなるべく安く買いたい」と考えます。
そのため、両手仲介の行為は「利益相反」といわれ、アメリカなど一部の海外では法律で禁止されているのです。しかし、日本の大手不動産仲介会社の取引では、多くが両手仲介を行っています。
そのため、仲介手数料にこだわるのではなく、トータルの売却・購入金額やリスク・リターンを考慮して信頼できる不動産会社への依頼が重要です。
信頼できる不動産会社を探して依頼するには、複数の不動産会社を比較する必要があります。「おうちクラベル」は、複数の不動産会社に査定依頼ができる不動産一括査定サイトです。
「おうちクラベル」の運営会社SREホールディングスが行う不動産事業の「SRE不動産」では、対象地域であれば片手仲介をして売主の売却活動をサポートしています。
不動産のプロであるSRE不動産が全面的に売主に協力してくれるので、安心して不動産を売却できるでしょう。
6.不動産売買で仲介手数料の値引き交渉をする方法
不動産売買で仲介手数料の値引き交渉する方法は以下のとおりです。
- サービス・保証内容を削って値引き交渉する
- 他社の査定書を見せて値引き交渉をする
- 専任媒介契約を条件に値引き交渉をする
それぞれ詳しく解説します。
6-1.サービス・保証内容を削って値引き交渉する
不動産会社のサービスや保証内容を確認して、不要なものを削ってもらい、そのかわりに値引き交渉する方法です。
大手不動産会社が売却活動を行う際の一般的な業務を紹介します。
- 広告チラシ作成・ポスティング
- 現地販売会開催
- 外観・内観の撮影(場合によってはプロのカメラマンによる撮影)
- 周辺環境を含む現地の詳細レポート作成
- 室内の片付け・飾り付け
- 住宅診断+瑕疵保険
- ハウスクリーニング・リペア
- 税理士や弁護士への無料相談
- 土地の確定測量
- 確定申告サポート など
内容は充実していますが、不必要に感じる業務や売主自身で対応できる業務があれば、値引き交渉の材料になります。値引き交渉は大手不動産会社よりも、中小や地場の不動産会社のほうが交渉しやすいです。
6-2.他社の査定書を見せて値引き交渉する
仲介手数料の値引き交渉は、不動産会社にとっては収益やノルマに関わるため敬遠されがちです。
そこで交渉を前向きに考えてもらうために、他社の査定書を提示して、他社と契約する可能性を認知してもらいましょう。
不動産会社は契約ができないよりも、多少値引きしてでも契約したほうがメリットがあるので値引き交渉が成功する可能性が高まります。
ただし、いきなり他社の査定結果を提示するのではなく、まずは何もない状態で交渉しましょう。
交渉に応じてもらえない場合に、他社の査定結果を提示するほうが印象がいいからです。あくまでも交渉なので、高圧的な態度ではなく相談する形で交渉を進めるのがポイントです。
6-3.専任媒介契約を条件に値引き交渉をする
専任媒介契約は3種類ある媒介契約の1つで、1社としか契約できないのが特徴です。
一般媒介契約のように複数の不動産会社と契約すると、他社で売買が成立する可能性があります。そのため、不動産会社はなるべく専任媒介契約か専属専任媒介契約を締結したいと考えます。
専任媒介契約をすれば仲介手数料を確保できるため、値引きに応じてくれる可能性が高くなるでしょう。
交渉する際には「専任媒介契約または専属専任媒介契約を締結するので、仲介手数料を値引きしてもらえないか」と、伝えることをおすすめします。
7.不動産売買で仲介手数料が必要ないケース
不動産売買で仲介手数料が必要なケースは、以下の場合です。
- 物件を不動産会社へ売却する
- 物件を個人売買する
それぞれ詳しく解説します。
7-1.物件を不動産会社へ売却する
仲介手数料が必要ないケースの1つ目は、「不動産買取」を活用する場合です。
不動産買取とは、買主を見つけるのではなく不動産会社に直接買い取ってもらう方法です。買主を見つけるための「仲介業務」がないため、不動産買取の場合には仲介手数料が必要ありません。
買取のメリットとデメリットをそれぞれまとめているので、参考にしてみてください。
【メリット】
- すぐに売却して現金化できる
- 売却、購入共に仲介手数料が必要ない
- 築古物件でもリフォーム前提で買い取ってくれやすい
- 契約不適合責任を避けられる
- 時間効率がよい
【デメリット】
- 売却価格が仲介より2〜3割り程度安い
- 不動産によっては買取できない場合がある
メリットのほうが多いですが、不動産を売却する場合に最も重要な価格が安くなるというデメリットがあります。売却活動に時間がかけられないケースや、すぐに資金を用意する必要がある場合に有効な方法です。
7-2.物件を個人売買する
仲介手数料が必要ないケースの2つ目は「個人売買」で売却する場合です。
個人売買とは、不動産会社を通さずに売主と買主だけの個人間で取引を完結させる方法です。
個人売買のメリット・デメリットをそれぞれまとめているので、参考にしてみてください。
【メリット】
- 安値で購入しやすい
- 仲介手数料が双方必要ない
- 自由に契約内容を決められる
【デメリット】
- 買主が見つかりづらい
- 不動産会社を通さないのでトラブルが発生する可能性が高くなる
売主と買主どちらにもコスト面でのメリットはあるものの、不動産売買で不動産会社を通さないのはリスクがあります。
法律関係や複雑な登記簿の確認を正しくするのは難しく、後々トラブルになる可能性もあるのであまりおすすめできない方法です。
8.不動産売買の仲介手数料で注意すべきポイント
不動産売買の仲介手数料で注意すべきポイントは以下の3つです。
- 通常業務以外は別途費用がかかる
- 売買契約の締結後に解除しても支払いが必要
- 仲介手数料の安さだけで不動産会社を選ばない
それぞれ詳しく解説します。
8-1.通常業務以外は別途費用がかかる
仲介手数料に含まれる業務以外は、別途費用がかかる可能性があることに注意しておきましょう。
仲介手数料に含まれる内容は不動産会社により異なりますが、基本的には不動産の宣伝広告や内見の対応、売主・買主との手続きなどです。
それ以外には費用がかかる場合もあります。例えば、遠方への営業活動や売主からの広告の追加依頼などです。
別途費用がかかる場合には、不動産会社は必ず売主へ追加費用の説明をして承諾をもらう必要があります。承諾しなければ別途費用はかからないとはいえ、契約前に通常業務の内容を確認しておくことが大切です。
8-2.売買契約の締結後に解除しても支払いが必要
仲介手数料は成功報酬のため、売買契約が成立した時点で発生します。そのため、売買契約の締結後に手付解除などがあった場合でも、仲介手数料は支払わなければなりません。
仲介手数料は、売買契約時と引き渡し時の2回に分けて支払いますが、契約破棄によって請求されるのが半金なのか全額なのかは状況によって異なります。
売買契約後に契約解除すると、手付金に加え仲介手数料を支払う形になり、その後の売買活動の資金計画に大きく影響すると覚えておきましょう。
8-3.仲介手数料の安さだけで不動産会社を選ばない
仲介手数料の安さだけに注目すると、不動産売却の本来の目的を見失いやすくなります。特に売却する場合は注意しましょう。
不動産の売却は、不動産会社や担当者の売り方次第で価格や売却スピードが変わります。
仲介手数料が無料、半額などの不動産会社は、その分「販売活動に制約がでる」「両手仲介にこだわらざるを得ない」など、売主にとってのデメリットが発生する可能性が高くなります。
最も重要なのは、物件を早く高く売却できることなので、不動産会社を比較して信頼できる会社と契約するようにしましょう。
まずは無料の不動産一括査定サイト「おうちクラベル」で複数の不動産会社から見積もりを取ってみてください。
9.仲介手数料以外に必要な不動産売買の手数料・税金
不動産売買では仲介手数料以外にも必要な手数料や税金があります。
仲介手数料の割合は大きいものの、他の諸費用に関しても確認しておきましょう。
それぞれ詳しく解説します。
9-1.不動産の購入に必要な費用
不動産の購入時に必要な費用は、以下のとおりです。
費用項目 | 費用目安 | 支払い時期 |
仲介手数料 | 売買価格400万円超えの場合:(売買価格×3%+6万円)+消費税 | 売買契約時と決済時 |
印紙税 | 売買価格に応じて1,000円〜6万円 | 売買契約書への貼り付け時 |
手付金 | 物件価格の5〜10% | 売買契約時 |
登録免許税 | 固定資産税評価額×税率 | 登記時 |
司法書士への報酬 | 4万〜20万円 | 登記時 |
住宅ローン | 融資手数料3万円前後 | 融資実行時 |
保険 | 5年契約で50万円前後 | 物件引渡時に一括、または毎月払い |
不動産取得税 | 固定資産税評価額×3% | 後日請求 |
消費税 | 建物部分の購入代金×10% | 引き渡し時 |
水道加入負担金 | 10万〜30万円 | 初回水道利用時より前 |
上記に加え、引っ越し費用なども考慮する必要があります。マンションの場合は修繕積立金と駐車場代、管理費も必要です。
購入時に必要な項目を参考に、無理のない資金計画を立てるようにしましょう。詳しい費用項目や金額を知りたい場合は、不動産会社の担当者に見積もりを依頼して確認します。
9-2.不動産の売却に必要な費用
不動産の売却時に必要な費用は、以下のとおりです。
費用項目 | 費用目安 | 支払い時期 |
仲介手数料 | 売買価格400万円の場合:(売買価格×3%+6万円)+消費税 | 売買契約時と決済後 |
印紙税 | 1,000円〜6万円 | 売買契約書の作成時 |
抵当権抹消費用 | 1,000円(司法書士に依頼する場合は、1〜5万円) | 移転登記時 |
住宅ローン返済手数料 | 5,000円〜3万円 | ローン返済時 |
譲渡所得税 | 所得税額(短期)=売却益×30.63% 所得税額(長期)=売却益×15.315% | 確定申告後 |
ハウスクリーニング費用 | 3万〜10万円 | クリーニング実施後 |
測量費用 | 50〜80万円 | 測量実施後 |
解体費用 | 100〜300万円 | 解体後 |
契約書類発行費用 | 1枚あたり300円 | 書類発行時 |
譲渡所得税や測量費用、解体費用がかからない場合、費用の大半は仲介手数料になります。費用はあくまでも概算なので、詳細に調べたい場合は不動産会社に見積もりを依頼しましょう。
10.不動産売却の媒介契約の種類
不動産売却の媒介契約には、以下の3種類があります。
一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 | |
契約できる会社数 | 複数社と契約可 | 1社のみ | 1社のみ |
自己発見取引 | 可 | 可 | 不可 |
売主への報告義務 | なし | 2週間に1回以上(休業日を含む) | 1週間に1回以上(休業日を含む) |
指定流通機構への登録義務 | 義務なし | 契約締結の日から7日以内(休業日を除く) | 契約締結の日から5日以内(休業日を除く) |
媒介契約によって内容が異なるため、不動産を売却する場合には物件や自分の状況に適した契約を選択するのが大切です。
それぞれの媒介契約に関して詳しく解説します。
10-1.一般媒介契約
一般媒介契約は、1社に限らず複数の不動産会社に依頼できるのが特徴です。
販売における自由度が最も高い媒介契約ですが、不動産会社からの販売報告の義務がないため状況を把握しづらいというデメリットがあります。
また、全国の不動産会社が閲覧できるレインズへの登録義務もないため、不動産情報が流通しづらい点への対策を考えておく必要があります。
メリットは、複数の不動産会社と契約ができるため不動産会社が独自で抱える顧客が買主になる可能性がある点です。
いきなり1社とだけ契約するのが不安な方は、まず契約期間がない一般媒介契約を選ぶのをおすすめします。
一般媒介契約であればいつでも契約解除できるため、販売活動が思うように進まない場合には、途中で専任媒介などに変更するようにしましょう。
10-1-1.一般媒介契約がおすすめなケース
一般媒介契約がおすすめなケースは、「買主が多い物件、人気の地域」「売却を周囲に知られたくない」などの場合です。
人気の物件はそもそも探している人が多いため、一般媒介でもスムーズに売却できる可能性が高いです。また周囲に知られたくない場合には、レインズへの登録義務がない一般媒介契約を選ぶとこっそり売却できます。
10-2.専任媒介契約
専任媒介契約は媒介契約を結べる会社が1社のみですが、自分で買主を探して直接取引が可能です。
他社での売買契約締結がないので、不動産会社の積極的な販売活動が期待できます。買主が決まりやすくスムーズな売却をしやすいのが専任媒介契約のメリットです。
また、1社との取引なので状況を把握しやすく時間効率がよく手間も少ないですが、前述した「囲い込み」には注意が必要です。
信頼できる1社を見つけて契約するようにしましょう。
10-2-1.専任媒介契約がおすすめなケース
専任媒介契約がおすすめなケースは「信頼できる不動産会社がいる」「早期売却がしたい」などの場合です。
売却を任せる会社を1社に絞るため、知り合いで信頼できる不動産会社がある場合にはお願いしてみましょう。
また、一括査定サイトなどを活用して複数社とやりとりした上で、信頼できる会社が見つかった場合も専任媒介契約をおすすめします。
不動産会社も売却に力を入れるため、なるべく早く売却したい事情がある場合にもおすすめです。
10-3.専属専任媒介契約
専属専任媒介契約とは、専任媒介契約と同じで1社としか契約できません。しかし、自己発見取引が認められておらず、全てを不動産会社に任せる媒介契約です。
不動産会社からのサポートが最も手厚く早期売却にもつながりやすい契約ですが、1社に不動産売却を託すため、専任媒介契約と同じく不動産会社選びが重要となります。
10-3-1.専属専任媒介契約がおすすめなケース
専属専任媒介契約がおすすめなケースは、専任媒介契約のケースに加え「買主が見つからなければ不動産会社に買い取ってほしい」場合です。
一定期間買主が見つからなければ、不動産会社による買取を保証してくれる契約があると安心でしょう。信頼できる不動産会社であることは前提ですが、よりスピード感を求める場合におすすめです。
11.不動産売買で苦労しないためのポイント
不動産売却でなるべく苦労しないためには、購入時のお金に関する内容や売却時のスケジューリングなどを事前に把握しておくことです。そこで不動産売却を苦労しないためのポイントを買主の場合と売主の場合で詳しく解説します。
11-1.買主の場合
買主の場合のポイントは、以下の2つです。
- 購入前にライフプランを見直す
- 不動産は細部までチェックする
不動産の購入は人生の中でも高額な買い物になり、長期にわたって住宅ローンを組む人も多いです。
そのため、自分や家族のライフプランを見直して、今後必要になるお金や子供の進学・自分の仕事の変化といったことまで考える必要があります。
当然ライフプランどおりに進むわけではありませんが、どの時期にどれくらいお金が必要で、どれくらいの収入と資産になっているかを把握するのが大切です。
住宅ローンを考える際は、会社の倒産や事故や病気で働けなくなるといったリスクまで考えておき、借入可能額いっぱいまで組まないことをおすすめします。
そして、購入したい物件が見つかったら、細部までチェックしましょう。
1回内見しただけでは、天井のシミや外壁のひび割れなど気づけない部分もあります。また昼と夜とでは周辺環境や日当たり、建物の見え方も変わります。
そのため、気になる物件が見つかっても即決せず、しっかり細部まで確認して疑問や不安は遠慮せず不動産会社に確認しましょう。
11-2.売主の場合
売主のポイントは、以下の2つです。
- 売却スケジュールに余裕を持たせる
- 相性のいい不動産会社を見極めること
売却スケジュールに余裕を持つと、相性のいい不動産会社を見つけられたり、買主からの無理な値下げ要求に応えたりする必要もありません。不動産売却では、査定から引き渡しまで平均で3〜6ヶ月ほどかかるため余裕を持って行動しましょう。
また、不動産会社によって強みや得意な地域、得意な物件種別が異なります。そのため、複数の不動産会社に査定を依頼して、自分の売却ケースに合う会社を見極めるのが重要です。
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12.不動産売買の仲介手数料は上限と性質を把握しておこう
今回は、不動産売買で必要になる仲介手数料に関して網羅的に解説しました。
仲介手数料には請求できる上限額が決まっているので、媒介契約を結ぶ前に売主自身が把握できます。
また、不動産売却を依頼する際は、仲介手数料の値引きや安さだけを考えるのではなく、信頼できる不動産会社への依頼を重要視しましょう。
囲い込みなどのリスクを減らすためには、片手仲介をしてくれる会社を見つけるのが効果的です。
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複数の信頼できる不動産会社に査定依頼できるので、売却物件に適した不動産会社を見つけられるでしょう。
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