中古マンションを売りに出したにもかかわらず、なかなか売れない場合もあります。そういった場合であっても、適切な対策を講じることでマンションが売却できるかもしれません。
では、具体的にどのような対策を講じればよいのでしょうか?今回は、マンションが売れない主な理由や売れない場合に生じるリスク、マンションが売れない場合の対処法などについて詳しく解説します。
マンションが売れない場合の主な理由
売りに出しているマンションがなかなか売れない場合には、どのような理由が考えられるのでしょうか?マンションが売れない主な理由は次のとおりです。
- 老朽化が進んでいるから
- 立地がよくないから
- インターネットなどに掲載された写真のイメージがよくないから
- 内見時の対応に問題があるから
- 部屋が整理整頓・清掃されていないから
- 部屋の臭いが気になるから
- 間取りがその地域のニーズに合致していないから
- 売り出し価格が高すぎるから
- 他に競合物件が売りに出ているから
- 不動産会社が販売に力を入れていないから
- 不動産会社が囲い込みをしているから
老朽化が進んでいるから
マンションの老朽化が進んでいることが原因でマンションが売れない場合があります。特に外壁が剥がれているなど、目に見えて建物が傷んでいる場合は長期修繕計画が機能していないことが懸念され、購入を敬遠される可能性があるでしょう。
「鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造のもの」に該当するマンションは、法定耐用年数が47年に設定されています。この期間を過ぎたからといって、ただちに危険が生じたり住めなくなったりするわけではありません。
しかし、法定耐用年数を過ぎたマンションは資産価値が低いと判断され、買い手の住宅ローンが組みづらくなる可能性があります。これが原因でマンションが売れないことも考えられます。
立地がよくないから
マンションの立地が良くないことでマンションが売れない場合もあります。最寄り駅から徒歩5分以内のマンションはニーズが高い一方で、最寄り駅から徒歩15分以上となるとマンションが売れづらいといわれています。
インターネットなどに掲載された写真のイメージがよくないから
マンションを売りに出した場合、不動産ポータルサイトや不動産会社のウェブサイトなどに物件情報が掲載されることがあります。ここに掲載された写真のイメージがよくないことでマンションが売れない場合もあるでしょう。
たとえば、全体的に暗い写真や散らかった状態で撮られた写真が掲載されている場合は、閲覧者にマイナスのイメージを与えているかもしれません。
内見時の対応に問題があるから
内見時の対応に問題があることでマンションが売れない場合もあります。たとえば、対応がぶっきらぼうであったり、買主からの質問に適切に回答できていなかったりする場合などが挙げられます。
部屋が整理整頓・清掃されていないから
内見時に部屋が散らかっていたり汚れた状態であったりすると、これが原因でマンションが売れない場合もあります。このような状態だと購入意欲が湧きにくい可能性があるためです。
部屋の臭いが気になるから
部屋の臭いが気になる場合には、これが原因でマンションが売れない場合もあるでしょう。特にペットやたばこの臭いは、その家で暮らしていない人にとっては気になるものです。
間取りがその地域のニーズに合致していないから
間取りがその地域のニーズに合っていないことでマンションが売れない場合もあります。一般的には、2LDKから3LDK程度のマンションが売りやすいといわれています。
ただし、広いマンションの場合はリモートワークがしやすいことや趣味の部屋に使えることなどをアピールすることで、売却につながる場合も少なくありません。
売り出し価格が高すぎるから
売主としては、マンションをできるだけ高く売却したいことでしょう。しかし、周辺と比較して売り出し価格が高すぎると売れない可能性があります。
他に競合物件が売りに出ているから
同時期に近隣で他の物件が売りに出ていることが原因でマンションが売れない場合もあります。特に似た間取りで新築マンションが分譲されている場合や、築浅の物件が売りに出ている場合などはこれが原因で売れていない可能性があるでしょう。
不動産会社が販売に力を入れていないから
依頼先の不動産会社がそのマンションの販売活動にあまり力を入れていないことが原因で売れない可能性があります。
この場合には、現在依頼している不動産会社との媒介契約の期間が満了した段階で、そのマンションの売却に力を入れてくれる不動産会社に依頼先を変更することを検討するとよいでしょう。そのマンションの売却に強い不動産会社をお探しの際には、「おうちクラベル」の不動産一括査定をご利用ください。
おうちクラベルは、東証プライム上場企業のSREホールディングスが運営する不動産一括査定です。一度の入力で、複数の不動産会社へまとめて査定の依頼が可能です。
複数社による査定額や担当者の対応などを比較することで、そのマンションの売却に強く信頼できる不動産会社を見つけやすくなるでしょう。
不動産会社が囲い込みをしているから
不動産会社が「囲い込み」をすることでマンションが売れない場合もあります。囲い込みとは、他の不動産会社経由でそのマンションについての問い合わせがあった場合、「そのマンションはもう売れました」などと虚偽の説明をして取引を断ることを指します。
不動産会社が囲い込みを行う理由は、その報酬体系にあります。マンションの売買を成立させた場合に不動産会社が得られる仲介手数料には、法令で上限額が定められています。
この上限額は、売主と買主のそれぞれから受け取れる金額です。つまり、買主からも仲介依頼を受けられると、売主のみから売却の委託を受けた場合の2倍の報酬を得ることができるということです。
このように、売主と買主の両方から仲介の依頼を受けることを「両手仲介」といいます。
不動産会社がこの両手仲介に持ち込むために、別の不動産会社経由でなされた購入の打診を、嘘をついて断るケースがあります。囲い込みがなされると、本来であれば成立したかもしれない取引が不動産会社の利益のために断られ、依頼者である売主にとって不利益となります。
マンションが売れない場合のリスク
マンションが売れない場合、どのようなリスクが生じるのでしょうか?マンションが売れないことによる主なリスクは次のとおりです。
- マンションの維持費がかかり続ける
- 老朽化が進みますます売りづらくなる
- 売れないマンションとのイメージがつき負のスパイラルに陥る
- いずれは相続が起きて次世代に「負の遺産」が引き継がれる
マンションの維持費がかかり続ける
マンションが売れない場合であっても、マンションの維持費は発生し続けます。マンションの維持費とは、毎月支払う修繕積立金や管理費や、毎年支払う固定資産税などです。
売れるまでの間そのマンションに住んでいるのであればまだしも、すでに住み替えたにもかかわらずこれらの費用を支払い続けるとなると大きな負担になるでしょう。
老朽化が進みますます売りづらくなる
一般的に、マンションは老朽化が進めば進むほど売りづらくなる傾向にあります。売れない期間が長引くとその間にマンションの老朽化が進行し、ますます売りづらくなるかもしれません。
売れないマンションとのイメージがつき負のスパイラルに陥る
マンションがなかなか売れない場合には、不動産ポータルサイトなどに物件情報が掲載され続けます。掲載期間が長くなると、閲覧者に「ずっと売れないマンション」とのマイナスイメージがついてしまい、ますます売りにくくなる可能性があります。
いずれは相続が起きて次世代に「負の遺産」が引き継がれる
マンションが売れないまま長い時間が経過すると、いずれは相続が発生し次の世代に「負の遺産」として引き継がれます。場合によっては「負の遺産」を相続人同士で押し付け合いトラブルに発展する可能性もあるでしょう。
マンションが売れない場合に見直すべきこと・対策
マンションが売れない場合には、どのような対策を講じればよいのでしょうか?マンションが売れない場合に見直した方がよい主なポイントは次のとおりです。
- 不動産会社との媒介契約を見直す
- 依頼先の不動産会社を見直す
- インターネットなどへの掲載情報や掲載写真を見直す
- 売り出し時期を見直す
- マンションの清掃や整理整頓をする
- 売り出し価格を見直す
- 家具の配置や照明を変える
- ホームインスペクションを実施する
不動産会社との媒介契約を見直す
マンションがなかなか売れない場合には、不動産会社と締結している媒介契約を見直すとよいでしょう。不動産の売却を不動産会社に依頼する際の媒介契約には、次の3種類があります。
専属専任媒介契約 | 専任媒介契約 | 一般媒介契約 | |
---|---|---|---|
他の不動産会社へ重ねての依頼 | 不可 | 不可 | 可 |
自己発見取引 (自分で買い手を見つけての売買) | 不可 | 可 | 可 |
指定流通機構への登録 | 5営業日以内 | 7営業日以内 | 義務なし |
報告頻度 | 1週間に1回以上 | 2週間に1回以上 | 指定なし |
不動産会社は、自社で確実に収益を上げやすい「専属専任媒介契約」や「専任媒介契約」を希望することが多いでしょう。しかし、これらは重ねて他の不動産会社に依頼できず、囲い込みの原因となる可能性があります。
売れづらいマンションではないにもかかわらずなかなか売れない場合には、不動産会社との契約を「一般媒介契約」とすることを検討するとよいでしょう。
ただし、元々売れにくいマンションであるにもかかわらず一般媒介契約としてしまうと、不動産会社が販売活動に力を入れづらくなり、より売れにくくなる可能性があります。
依頼先の不動産会社を見直す
マンションを売りに出してもなかなか売れない場合には、依頼先の不動産会社を変更することを検討するとよいでしょう。不動産会社を変更しそのマンションの売却に強い不動産会社へ改めて売却の依頼をすることで、マンションが売れる可能性があります。
そのマンションの売却に強い不動産会社をお探しの際には、「おうちクラベル」のご利用がおすすめです。おうちクラベルでは、複数の優良な不動産会社にまとめて査定の依頼ができます。
査定額や説明などを比べることで、そのマンションの売却に自信のある不動産会社を見つけやすくなるでしょう。
インターネットなどへの掲載情報や掲載写真を見直す
不動産ポータルサイトなどに掲載している不動産情報を見直すことで、マンションが売れる可能性があります。たとえば、想定される購入層を見直して、その層に向けたアピールポイントの掲載を充実させることなどが考えられます。
また、マンションの掲載写真を差し替えることも1つの手です。たとえば、写真が薄暗い場合には晴れている日に写真を撮り直したり、室内を整理整頓したうえで写真を撮り直したりすることなどが挙げられます。
売り出し時期を見直す
マンションの売り出し時期を見直すことでマンションが売れる場合もあります。
一般的に、マンションは2月から3月がもっとも売れやすいといわれています。この時期は、4月からの転職や子どもの進学などに向けて引っ越し先のマンション購入を検討する人が増えるためです。
そのため、これら以外の時期に売り出している場合には、2月や3月に改めて売りに出してみることも1つの手です。また、競合する物件が売りに出ている場合には、この物件の販売が終了したタイミングで改めて売りに出すことも検討するとよいでしょう。
マンションの清掃や整理整頓をする
内見に向けてマンションの室内を清掃したり整理整頓したりすることでマンションが売れる可能性があります。引き渡しの前にはハウスクリーニングが入ることがわかっていても、散らかった状態や極端に汚れた状態であると購入意欲が湧きにくいためです。
そのうえで、内見時に丁寧な対応を心がけることも有効な対策となるでしょう。
売り出し価格を見直す
マンションが売れない場合には、売り出し価格の見直しも検討するとよいでしょう。ただし、むやみに値下げをするのではなく、周辺相場よりも高すぎる場合に適正額に下げる程度とすることをおすすめします。
マンションの適正額がわからない場合には、「おうちクラベル」の不動産一括査定のご利用がおすすめです。複数の不動産会社に査定を依頼することで適正な査定額を把握しやすくなるうえ、よりよい条件で売却してくれる不動産会社を選定しやすくなるためです。
家具の配置や照明を変える
後ほど解説しますが、マンションが売れない場合であっても大規模なリノベーションをすることはおすすめできません。
しかし、他の対策を講じてもマンションがなかなか売れない場合には、家具の配置や照明を変えてみることは有効な対策となり得るでしょう。大規模なリノベーションまでをしなくとも大きく印象を変えられるためです。
ホームインスペクションを実施する
売れないマンションが築古である場合などには、ホームインスペクションを実施することも1つの手です。
ホームインスペクションとは、住宅に精通した専門家にマンションの内部を確認してもらい、住宅の劣化状況や不具合の有無、改修すべき箇所などについてアドバイスを受け、報告書を交付してもらうことを指します。
購入を検討している人にこの報告書を開示することで、安心感が生まれ購入につながりやすくなるでしょう。
マンションが売れない場合のNG対応
マンションが売れない場合であっても、次の対応をすることはおすすめできません。
- 何も見直さずそのまま販売を続ける
- むやみに売り出し価格を引き下げる
- 思い切ったリノベーションをする
何も見直さずそのまま販売を続ける
マンションがなかなか売れない場合、何も見直さずにそのまま販売を続けることは避けた方がよいでしょう。なぜなら、そのまま売り出しを続けたところで、売却が成立する可能性は低いためです。
それどころか、物件情報がインターネット上などに掲載され続けることで「売れないマンション」であるとのイメージがついてしまうリスクもあります。
むやみに売り出し価格を引き下げる
マンションが売れない場合であっても、売り出し価格をむやみに引き下げることはおすすめできません。マンションが売れないのは価格が高いからではなく、売り出し方など他に問題がある可能性もあります。
売り出し価格を下げるのは、問題点をしっかりと吟味し対策を講じてからでも遅くないでしょう。
ただし、周辺相場と比較して売り出し価格が高すぎる場合には、価格の見直しが有効である可能性もあります。そのマンションの適正な売却価格が知りたい場合には、「おうちクラベル」の不動産一括査定をご利用ください。
思い切ったリノベーションをする
マンションが売れないからといって、大規模なリノベーションをすることは避けた方がよいでしょう。なぜなら、リノベーションをしてその分売り出し価格が高くなるとリーズナブルであるという中古マンションのメリットが薄れてしまい、さらに買い手が見つかりにくくなる可能性があるためです。
また築古のマンションの場合、マンション自体を安く買って自分で自由にリノベーションをしたいとのニーズもあります。そうであるにもかかわらず売り手がリノベーションをしてしまうと、購入者をさらに狭めることにもなりかねません。
それでもマンションが売れない場合の対応策
このような対策を講じてもマンションが売れない場合もあるでしょう。その場合には次の方法を検討してください。
- 不動産買取
- 格安での売却や無償での譲渡
不動産買取
不動産買取とは、不動産会社に直接マンションを買い取ってもらう取引形態です。不動産買取の場合、市場で売りにくいマンションであっても買い取ってもらえる可能性があるでしょう。
ただし、不動産買取では売買代金が低くなる傾向にあり、市場での売却の7割から8割程度になることが一般的です。また、すべての不動産会社が買取を行っているわけではなく、マンションのエリアや状況によっては買い取ってもらえない可能性もあります。
格安での売却や無償での譲渡
他の方法で売却ができない場合には、格安での売却や無償での譲渡を検討します。費用を支払ってまでマンションを買うつもりはないものの、無償や格安で受け取れるなら欲しいと考える人がいる可能性があるためです。
親戚や同じマンションの住民に打診してみるとよいでしょう。この場合には、その後の管理費や修繕積立金、固定資産税などはかかることを説明しておくことをおすすめします。これらの費用がかかることを知らなかったなどと後から主張されるとトラブルとなる可能性があるためです。
また、無料や格安での譲渡の場合も、名義変更の登記まできちんと済ませておきましょう。というのも、後日譲渡した相手が要らなくなったという場合に「もらったつもりはない」などと主張される余地があり、登記がないと手放したマンションが戻ってきてしまう可能性があるためです。また、自身の相続発生後、事情を知らない相続人と相手方とがトラブルとなる可能性も否定できません。
なお、これはあくまでも修繕積立金や管理費などの負担が重いことなどから「とにかくマンションを手放したい」という場合に検討すべき方法です。特に急いで手放す必要がない場合は、そのまま所有を続けることや賃貸することも1つの方法でしょう。
まとめ
マンションが売れない場合、まずは売れない理由を考え、対策を講じる必要があるでしょう。
たとえば、内見時における部屋のイメージが悪い場合には、整理整頓をしたり家具の配置を変えたりすることなどが検討できます。売れない理由に応じた適切な対策を講じることで、マンションが売れる可能性が高くなります。
また、マンションがなかなか売れない場合には、そのマンションの売却に強い不動産会社に依頼先を変更することも1つの手です。不動産会社を変えることでマンションが売れる可能性があるだけでなく、よりよい条件での売却が実現できるかもしれません。
しかし、依頼先を変更しようにも、どの不動産会社がそのマンションの売却に強いのかわからない場合も多いでしょう。その場合には、「おうちクラベル」のご利用がおすすめです。
おうちクラベルとは、一度の60秒入力で複数の優良な不動産会社に査定を依頼できる不動産一括査定です。複数社による査定額や説明、対応の誠実さなどを比較することで、そのマンションの売却に自信のある不動産会社を選定しやすくなるでしょう。